それは紙一重 (ページ15)

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「私…この一年、めちゃくちゃ

無駄にした気分です…。最悪…。」

膝の上の手にグッと力が入れて、それを見つめる。

悔しい。

私の貴重な人生の時間を、あんな男のために無駄にし

てしまったことが、ただただ悔しい。

アオイ「人生そんなもんよ～。後悔や悔しさがあるか

ら、人生彩られて行くの。失敗したってそれを次に生

かせばいい！人生、まだまだこれからでしょ！！」

バシッと背中を叩かれて、いった～！と言いながらそ

こをさすり、思い出す。

少し前に仕事でミスをしてしまった時も、嘉くんが同

じようなこと言って、励ましてくれたな～って。

嘉ー誰にだって失敗はあるし、例え失敗しても、同

じことを繰り返さないよう気をつければ、それで大丈

夫ー

チラッと、通路を挟んで斜め前に座る嘉くんを見れ

ば、イヤホンをしながらコックリコックリ船を漕いで

いた。

アオイ「とりあえずさっ、向こう着いて時間できたら

自由の身を祝ってタピオカ飲んで、小籠包食べまく

ろ！」

すると、アオイさんに小突かれて視線を戻せば、ガイ

ドブックを開いて、これこれ！と美味しそうなタピオ

カを指差していたので私もテンションが上がり、楽し

みぃ～！と、声を上げれば通りかったスチュワーデス

の方に咳払いをされてしまった。

ー台湾ー

マレーシアに続き、台湾でのPR活動も順調に終わ

り、私はホッと胸を撫で下ろしてホテルのロビーでア

オイさんを待っていたら、エレベーターから降りて来

た嘉くんが私の隣に座る。

「おつかれ！お出かけ？」

嘉「おつかれ。うん、ちょっと竜太くんとその辺見て

こようかと思って。Aは？」

「私もアオイさん待ち！タピオカ探しの旅に行ってく

るよ。」

と、アオイさんから借りたガイドブックを軽く上にあ

げる。

嘉「え、まじで？俺たちもタピオカ飲みたいねって言

ってたんだよ。どこかオススメの所あるの？」

「アオイさん曰く、ここが有名とかなんとか…、」

二人でガイドブックを覗きこんでいたら、

アオイ「なに、あんたたちもタピオカ？」

腰に手を当てて仁王立ちしているアオイさんと、

竜「俺たちもタピオカ飲みたいって言ってたんす

よ！」

自分を指差して、座っている私と嘉くん、立っている

アオイさんを交互見ながら言う竜太が目の前にいた。