それは紙一重 (ページ13)

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サプラーイズ！って言いたいとこ

だけど、今日はあんまり良い意味での

突撃お宅訪問ではない。

私は彼氏の家のドア前で、少し息を吸って深呼吸す

れば、冬に向かう空気は冷たくて鼻がスースーする。

「今から行くね」って前置きしてしまえば、また気持

ちが揺らいじゃいそうで、あえて事前連絡はしないで

来た。

大丈夫、私なら言える。

ピンポーン

少し震える指でインターホンを鳴してみたが、返答は

ない。

いないか…。

彼氏の留守かもしれないという結果に、なぜか少しホ

ッとしたような、出鼻を挫かれたような気持ちになり

方向転換をしようとしたら、ドアが開いた音がして振

り返ると、

「えっ…、」

そこには、キャミソール姿に少し髪が乱れた知らない

女の子が、目をこすりながら半開きのドアから顔を覗

かせていたのだ。

女「宅急便ですか～？」

あれ…？

私…部屋間違えた…？

その場で固まっていると、明らかに私より年下であろ

うその女の子は、え何？と、怪訝な顔で呟いた。

そして、更に衝撃的な展開はすぐにやってきた。

彼氏「なに、宅急便…って、Aっ？！なんで

っ…？！」

女の子の後ろから、上裸の彼氏が顔を覗かせて来るや

否や、見たこともない驚いた顔で私と目が合う。

てか、もはやこの時点で彼氏と言っていいのかどう

か…。

私がまだ何も言ってないのに目の前の男は、これは

っ、そのっなんて、上手く喋れていなくてすごくダサ

い。

女の子「なに～知り合いなの～？」

彼氏「いやっ、知り合いっていうか…、」

知り合いでもないなら、あなたにとって私って…誰な

の？

馬鹿馬鹿しい。

「…この人…連絡もまめにくれないし、約束の時間に

来たこともなければ、ドタキャンしたくせに急に呼び

出すしで、釣った魚には餌やらないタイプですが、お

幸せにっ！」

今みでの不満が大爆発して、捲し立てるように言った

後、思ってもない二人の幸せを願ったフリをして、私

はその場を後にする。

背中では私の名前を呼ぶ声が二、三回したけれど追い

かけて来ることはなかった。

歩く足が、ふわふわする。

浮かれ気分のじゃなくて、怒りと悲しみでアドレナリ

ンが大放出しちゃってのふわふわ。

さようなら、私の依存恋愛。

こんにちは、新しい独り身の自分。