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北「好きにさせてみせるから。」
優しく壊れ物を扱うように、
抱きしめてくれた手に、今度は少し力が入った。
北ちゃんは人懐っこくて、
いつでも真っ直ぐで、
ちゃんと言葉で伝えてくれて、
今も、なんでここまで来たのか、
なんで泣いてるのかなんてあえて聞いてこない優し
い人。
でもきっと私が壱馬くんを好きだったって、気づい
ているのに…。
それなのに、こんな私に気持ちを伝えてくれる。
「でも…私っ…、」
北「Aさんのスーパーマンにならせて。」
叶うはずのないこんなに辛い恋なら、
今、倒れそうになっている私に手を差し出してくれ
る優しい北ちゃんに寄りかかってもいいのかな…。
「うん…。」
小学生以来の恋。
それは甘酸っぱいなんてもんじゃなく、
苦くて、悲しいものだった。
ーーーーー
それから家までの帰り道、私たちは傘一本で歩くけ
れど、いつもより会話は少なかった。
玄関のドアを開ければ、そこに放置したはずの荷物
は無くなっている。
「あれ…、誰かやってくれたのかな…。」
キッチンの方へ行けば、何個もあったスーパーの袋
は無く、その代わりに一枚の紙がシンクの横に置い
てあった。
ー全部の荷物しまっておいたから、ご褒美に今度ア
イス買っといて。壱馬ー
その優しさ…タイミング悪すぎだよ…。
北「荷物どうだった？」
手を洗いに行っていた北ちゃんが戻ってきて、こち
らを覗いてきたので、私はとっさに壱馬くんからの
置き手紙を後ろ手に隠した。
「だっ、誰かやってくれたみたい！」
北「…そっか、良かったね。」
北ちゃんの顔が一瞬曇った気がしたけど、あ〜美容
院行くのめんどくさくなっちゃった〜、なんてソフ
ァに横になったから、それ以上考えないことにした。
そして私は自分の気持ちを断ち切るように、壱馬く
んからの手紙を、ゴミ箱へ捨てた。
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みそじ(プロフ) - りりさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて良かったです！ぜひこれからも遊びに来てください^ ^ (2019年6月8日 11時) (
レス) id: e9f0c68380 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 面白いです！続き楽しみにしてます！☆更新頑張ってください！ (2019年6月8日 6時) (レス) id: 399774dd20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそじ
| 作成日時：2019年5月27日 10時
