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28 存在クン ページ28

小鳥が禊の部屋の中に入り、椅子の背もたれに止まる。
 八千代は重そうに体を起こし、禊の上にかぶさる。長い髪が禊の鼻に触れ、
「…っぁ、くしょい!!」
 大きなくしゃみをする。
 八千代は禊の首に向かって口を開き、噛みつく。
「痛っ…!」
 禊は跳ね起きる。
「おはよう、可愛い傀儡。」
「その呼び方やめろよ…。」
「だってそうじゃないか。」
 禊は不満げな顔をする。
「欲求、満たされた?」
「まあまあ。」
「俺別に受けじゃないんだけどな…イテテ。」
「腰痛い?」
「そりゃそうだ。痛くするなって言ったのに。」
「もっと掘ってあげようか?」
「両中指をお前の目に刺してやる!」
 禊は八千代に向かって中指を立てる。
「…笑わないんだね。」
「疲れるから。君にまで愛そう笑いしなくてもいいだろう?」
「普段は作り笑顔なんだ…。」
 八千代は禊の右目にキスする。
「…てことは、嫌好とやるときは攻めなんだ。」
「ちょ…!」
「へぇ。どんな感じ?やってみてよ。」
「違う!攻めだけど…どちらかと言うと嫌好が俺の上に乗って勝手にやってるだけ!」
「ソレ君、受けじゃん。」
「そういう恥ずかしいこと言うな!」
「まあいいから。お風呂入ろ。」
 八千代は禊の手を引いて、風呂に入る。
「髪、相変わらず長いな。」
「これだと女の子が可愛がってくれるからね。」
「キモw」
「黙れ。」
 八千代と禊は風呂を上がる。
「何か食べていく?」
「じゃあ、白米。」
「だと思って、ハイ。」
 白いツヤツヤのごはんを渡す。
「シンプルイズザベスト。」
「酢モヤシ食べる?」
「る。」
 二人でモヤシをもきゅもきゅ食べる。
「歯ブラシ借りるぞー。」
「んー。」
 八千代は禊の部屋の窓で靴を履く。
「玄関から出ればいいのに…。」
「ここから入ってきたから。」
「俺と同棲しないの?」
 八千代は立ち上がり、
「やめとく。仕事で忙しいしね。」
「何の仕事だよ。」
「んー、まぁ…。」
 八千代は禊の唇に吸い付く。
「んっ…ん。」
 舌が滑って、絡まる。
「ぷはぁ…。」
「…上手くなった?」
「言うなぁ!」
 怒る禊をなだめるよう、頭を撫でる。
「…Nia・Alvand…。」
「…永遠の美。永遠の乙女。」
「そ。それを探してる。俺の生きる意味で、生きる目的。」
 八千代はパーカーのフードを深くかぶり、ポケットに手を入れて歩き出す。
「…くさい名前。存在のままでも良いのに。」
 禊は少し笑った。

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作者名:聖 永遠/作者 字 | 作成日時:2016年5月1日 4時

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