25 仕事しなさい ページ25
禊の後ろで、嫌好は要を睨む。
要は嫌好の行動を理解できず、ただただニコニコしながら嫌好を見る。
「すまぬ、要。コイツ対人恐怖症でコミュ障なんだ。」
「そうなんだ。大変だね。」
「ふぁっく!!」
嫌好が中指を立てる。
家に帰ると、アーサーがいた。
「おんまえ…まぁた勝手に。」
「ちゃうちゃう、ホレ。」
アーサーは後ろを指す。その先に黒髪の美女が佇む。
「おぉ、禊。すまない。どうしても今すぐ話したくてな。」
「なんすか、ソレ。」
嫌好の顔がムンクになる。
「安心しろ、仕事仲間だ。ほら、円香とかの。」
嫌好の顔が真顔になる。
「この方はマーリン。本名は…わかんないけど、マーリンらしい。ロシア人で、魔女をやってる。」
「正確には薬草を扱うのが得意な者だ。別に魔術が使えるわけではない。」
「でも呪いとか得意じゃん。」
「いや、それは…。」
嫌好がマーリンの袖を引く。
「何。何の用なの？」
「お前に用があるんだ。」
「俺？」
「嫌好、お前仕事してないだろう。」
「禊がしてるから十分。」
「じゃあお前はニートか。」
「ウッ…！」
図星だったようだ。
「お、俺は…専業主夫。」
「家事まともにできないのに？」
嫌好は小さくなっていく。
「禊、しばらくこいつを使っていいか？」
「かまわん。嫌好にはそろそろ仕事を覚えてもらいたかったんだ。」
「何で。禊裏切るの!?」
「お前いると何かと邪魔。」
「酷い！」
「あと働け。今月結構ピンチだぞ。飲茶食わせねぇぞ。」
嫌好の顔から表情が消える。
「じゃあ連れていくぞ。アーサー、足持て。」
「了解っす！」
直立不動になった嫌好をマーリンとアーサーで運ぶ。
「どれくらいで帰る？」
「んー、一ヶ月半だな。」
「そっか。よろしくな。嫌好、向こう様に迷惑かけるなよ。」
「禊、そんな事より私の元に嫁がないｋ…」
「マーリン急いで！時間！」
「んのトマト！私の愛を邪魔するな！」
「これ遅れたら減給なんやで!?」
「知るか！」
「知ってら！」
トマトと魔女は退場。
「…暇だな。」
禊はパソコンに向かう。
嫌好の機嫌はすこぶる悪かった。
「なあ、機嫌直せや。トマト食うてみ。幸せになるで〜。」
嫌好はアーサーの差し出すトマトを振り払う。トマトが床を転がる。
「あﾞ〜〜!!何すんねん!!」
「アーサー、うるさい。」
「パスタ食べる？」
「クリームは幸せの味なんだぞ！」
「オースティン、トイレ掃除は？」
「あ。」
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作者名：聖 永遠/作者 字 | 作成日時：2016年5月1日 4時
