【完結】書店員と恋１ (ページ9)

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3.

今日は、数日ぶりの休日。とは言っても誰かと出かける予定があるわけでもなく、読みかけだった本は昨日のうちに読み切ってしまった。

本当は何か買って帰ろうと思っていたんだけど…帰り際に珍しく混んでしまい、残念ながらそれも断念。

「休日にまで職場に顔出すのもなあ……」

今日のシフトは誰だったろう。……慎太郎くんがいたら、間違いなく引くだろうな。

「え、Aちゃん、今日休みだよ！？」

からかい半分で笑う彼の姿が、簡単に頭に浮かぶ。
あのアウトドア人間に、休日にまで職場に行く気持ちを理解してもらえるとは思えない。

「んんー……」

日の光を浴びながら、長い伸びをひとつ。

ベッドから立ち上がり朝の支度をしつつ、ゲーム、映画、それとも……と散々悩んだ末に、最近隣のカフェに顔を出していないことに思い至った。

「……結局職場だけど」

まあいっか、と自己解決。せっかく外に出るならちゃんとして行こうと思い、化粧ポーチに手を伸ばした。

「で、来てくれたんだ」
「久々に顔も見たいなと思って。しばらく会ってませんでしたし」
「確かにね。Aちゃん、ちゃんと働いてる？」
「働いてますよ(笑)」

裏でも見かけないしなあ、そうこぼす高地さん。
閉店時間も別々ですもんね、と私。

席どこでもいい？その問いに頷けば、店内が見渡せる一番奥の席に案内してくれた。
いつか「ここの席が一番好きなんです」と言ったのを、覚えてくれていたのかもしれない。

「で、今日は何の気分ですか？」
「今日は……ダージリンをお願いします」
「かしこまりました」

「勝手にケーキもつけていい？」「高地さんが払ってくれるなら」「やだよ(笑)」くしゃりと顔を歪ませて笑う彼は、とても可愛らしいと思う。

じゃあ淹れてくるねと席を離れて数分。持ってきてくれたトレイには紅茶と、バターケーキがのせられている。「え」声を漏らせば伝票をひらりと見せて、「内緒ね？」といたずらっ子のように笑った。

「それじゃ、ごゆっくりどうぞ」

……やることが、スマートすぎる。