【完結】書店員と恋１ (ページ50)

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「大将久しぶりです～」
「お！Aちゃん生きてたか！」
「生きてますよ！(笑)」

そんなやりとりでお店に入ったのが数分前。初めて会ったときのようにスーツを着こなし現れた彼は、やっぱり素敵な男性で。
席について生を二つ註文した後、ふいに合った目にドギマギしてしまった。

北斗くんが、口を開く。

「今日、誘ってくれてありがとう」
「ううん。こちらこそ」

会うのは映画に行った日以来。
……なんだか、気恥ずかしくなってしまう。

「…えっと、北斗くんに渡したいものがあって」
「渡したいもの？」
「これなんだけど」

「なんか、大変そうって聞いたから」そう前置きをして紙袋から取り出したのは、ストレスを低減させると噂のチョコレート。の、他に、ホットアイマスク、快眠用ドリンク、最近人気の入浴剤……

「ちょ、ちょ、ちょっと待って」
「ん？」
「出しすぎ」

ふは、と破顔した彼。「なんか大きい袋持ってんなって思ってたら、それ？(笑)」柔らかく目を細めた北斗くんに「……まだあるよ？」続けて取り出せば、いよいよ笑いだしてしまった。

「樹から聞いたの？」
「うん。新人さんで大変だ、って」
「だからこんなに」
「疲れてるところ、呼び出しちゃったし」
「気にしなくていいのに」

「…でもありがとう、嬉しい」シンプルなパッケージのチョコレートを手に取って、まるで大切なものを見るかのような空気を纏う。

「紙袋も、もらっていい？」パッと顔を上げた彼に「あ、もちろん」と差し出せば、嬉しそうにひとつひとつ袋に戻していった。

「お待たせしました生二つですー」
「ありがとうございます」

ゴトリ、とグラスが二つテーブルに並ぶ。見るからに冷たそうなそれは、ほんのり熱く感じる今にちょうどよかった。