【完結】書店員と恋１ (ページ43)

今日:143 hit、昨日:65 hit、合計:176,292 hit

43 ページ43

「今日はなに、飲み会？」
「合コン」
「ごっ…」
「騙されて」

普通の飲み会って言ってたのにさぁ！そう言ってソファをボスボスと叩き始めた大きな赤ちゃんに、「とりあえず落ち着いて」とその手を止めさせた。

「合コンなら行かないって、ずっと言ってたのに」「そうなんだ」「ほんと最悪」
物凄く、唇がとがっている。

「でもまあ、新しい出会いじゃない？」
「それ、あいつらにも言われた！」
「…なんかごめん」

不貞腐れたように見られれば、素直に謝るしかない。「……出会いなんかいらないし」彼がポツリと呟いた。

「……Aはさ」
「ん？」
「松村さん、と、付き合うの？」
「え」

突然の言葉に、パッと目が合った。
視線を逸らしたのは…私の方。

彼の目は酔いのせいか、……なんだか、熱を帯びている気がして。

「……わかんない、けど」
「ねえ」
「なに？」

のそ、と起き上がった彼が、こちらに近づく。

「ちょ、……ジェス？」
「A」

そのまま、首元に手が回って。
ふわりと香ったのは、お酒の匂いと、彼の香水。

「……離れないでよ」
「、」
「お願い……」

回された腕に、ぎゅう、と力が入った。

「…ちょっと、ジェシー」
「…」
「ねえ、」
「……」
「……え、寝たの？」

数秒前まで力が入っていたはずの彼の体からは、既に力が抜けていた。

驚いて体を離そうとすると、それでも腕だけはちゃんと首に回されていて。そのままの勢いで、床にズルズルと倒れこんでしまう。

「う、おも…………」

180超えの巨体に潰されるのは、いくら彼と言えどかなり重い。必死な思いで抜け出したはいいものの、彼をソファに持ち上げるのは流石に無理で。

諦めてそのまま床に転がした。

「……離れないで、って、なに？」

ブランケットをふわり、彼に問う。
答えは、返ってこない。