【完結】書店員と恋１ (ページ4)

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「……あ、もし時間があればですけど、うち隣のカフェと提携してるんです。書店の方はもうすぐ閉店なんですけど……カフェは、あと1時間くらいやってるので」
「へえ、そうなんですか」
「はい。気に入っていただけたら、向こうでお会計もできますし」
「それは…便利ですね」
「そうなんです。私もよく利用してます」

何かご注文していただければ、3冊までは持ち込み可能ですよ。そう付け足すと、「行ってみます」と言葉が返ってきた。

ありがとうございます。
こちらこそ。

最後に交わしたそんなやりとりに、ふわ、と心が温かくなるのを感じた。

「──Aちゃん？」
「っわ！」

併設された通路からカフェに向かう姿を見送っていれば、真後ろから呼ばれる自分の名前。
ポン、と置かれた手に、必要以上に肩が跳ねた。

「慎太郎くん……驚かさないでよ」
「ごめんごめん、驚かすつもりはなかったんだけど。お客さん大丈夫そ？」
「あ、うん、大丈夫。隣でちょっと読んでくって」
「あら、ほんと」

「すごいね、また売れるんじゃない？」「だといいんだけど」「ヨッ、我が店のエース！」「やめてよ(笑)」肩に軽くパンチ。骨折れた！なんて大げさに肩を抑える彼に笑みがこぼれる。

1年前に入社してきた彼…森本慎太郎くんは、今やすっかり欠かせないムードメーカーだ。

「じゃあお店閉めていいね？」
「え、もう閉める時間だった？」
「うん。でもなんかいい雰囲気で話してるし、まあいいかなって」
「うわあ、ごめんね」
「いいよー、俺もたまにやるし」

ロールカーテン下ろすねー。声を張る彼に、お願いと一言。私は先にレジ締めちゃおう。

「今日はどんな本すすめたの？」
「えっと…経理関係の本と、メンタル系の本かな」
「経理関係？Aちゃんそんな本も読んでるの？」
「あー、前職がそんな感じだったから」
「んえぇ、ほんとすごいね」
「全然だよ。慎太郎くんは相変わらず？」
「うん、マンガばっかり！」
「そんないい笑顔で……」

だから未だにマンガコーナーのお客さんにしか声かけられないんだよね！(笑)
んはは、と豪快に笑う彼につられて、笑いが漏れる。休日はアウトドアに過ごしているらしく、文字ばかりの本は読んでられないらしい。

私とは全く逆のその生活スタイルには、ただただ感心してしまう。

「明日はお休みだっけ？」
「そう！高地とツーリング予定」
「遠出するの？」
「あー、近場の峠行くくらいかな」