【完結】書店員と恋１ (ページ13)

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「……もしあの子に会ったら私、手出るかもしれない」
「A、そう言うと思った」

だめだよ？女の子なんだから。足を抱えて小さくなった彼が、困ったように笑う。「でも」「Aが悪者になっちゃうのは、俺がいや」

それにね、と彼が付け足す。

「……俺も、悪者にはなりたくないんだ」
「ジェシーはなにも、」
「ううん。……そうでもないよ」

抱えた膝に埋めるように顔を伏せる。

最後に一瞬だけ見えたその瞳には、翳がかかっているように見えた。なんだかその言葉には含みを感じたけれど……今のジェシーに、答えを求めることはできなかった。

「…でもやっぱり」
「…」
「さすがにちょっと、しんどいなあ……」

少しでも力を入れたら、簡単に折れてしまいそうな。……こんなにも細く弱った彼の声を聞いたのは、いつ以来だろう。

隣にそっと腰を下ろして彼の背中に手を回す。
ピク、と反応したその背中をゆっくりとさすれば、彼の身体が少しだけ震えた。

「A」
「ん？」
「…泣いちゃうから、やめて？(笑)」
「ばか」
「ひでぇ」

弱弱しい笑いをひとつ。しかしそのすぐ後、彼の喉がグゥ、と鳴るのが聞こえて。

「……お疲れさま」

そう声をかければ、鼻を啜る音の合間に「……ありがと」と小さく呟く声が聞こえた。

◇