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「ちょっと…大きい仕事、任せてもらえることになった」
ご飯中、北斗が嬉しそうに言ったのはいつのことだったろう。…1か月くらい前、だったかな。
他社とチーム組んでやるんだ、って言うその話は、私には詳しいことはよくわからなかったけど。
でも北斗がニコニコと口角を上げるからきっと、やりがいある仕事なんだろうなと思った。
「そうなんだ？頑張ってね」
「ん、ありがと」
ただ…少し忙しくなると思う。ご飯を口に運びながら言う北斗。……その、言葉通り。
『今日も遅くなる。先食べてて』ってメッセージが北斗とのトーク履歴にたくさん並ぶ。
…最近はもう、それすらも送ってこなくなった。
送る手間も惜しいんだろうな、って。
わかってる。わかってるけど。
"これが当たり前だから" って言われてるみたいで……少し、寂しい。
隣に北斗がいないご飯は味気ない。いつもならふたりで笑いながら見てるバラエティ番組も、こんなに面白くなかったっけ？って思った。
テレビから漏れる芸人さんの笑い声が、しんとした部屋に響く。
「……片そ」
呟いた声は、宙に浮かんだまま。
── ベッドが軋む感覚で、目が開いた。
帰ってこない北斗を待たずにベッドに潜り込んだのは、…体感で言うと少し前の話で。ショボショボする目で時計を見ると、夜中の1時半だった。
…今日は終電コースだったのか、とため息をつきそうになる。
「…ほくと？」
背中を向けて横になった彼に声をかけると、ピクリと肩を震わせる。そのまま、ゆっくりと振り返った。
「……ごめん、起こした？」
「ううん。…ね、ほくと」
「ん？」
「……あんまり、無理しないでね」
「…ん」
ひとつ、頭を優しく撫でて。
そのまま腕は彼の元へ帰っていった。
…少し前だったらきっと、私のことを抱き込むようにして寝てただろうな。ぎゅう、とくっついて、「暑いよ」なんて笑いながら。
不意に。……そんなことを考えてしまったら。途端になんだか胸が苦しくなった。
仕事だから仕方ない。
疲れてるから仕方ない。
…けど。
……寂しいよ、ほくと。
◇
◇
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
