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「今更だけど…よかったの？この部屋」
「なにが？」
「いや、Aの職場近いし…気に入ってた、とかだったら」
「ううん。全然」
「そう？」
「うん。……ただ、生きてただけだったから(笑)」
「……そっか」
ふ、って北斗が短く息を吐いた。
「…あのさ」
「ん？」
「……こんなとこで渡すものじゃないんだけど。きっと」
「……なに？(笑)」
「………これ、受け取ってくれない？」
ゆる、としたズボンを履いてるから、ポケットに何かあるなんて気づかなかった。北斗がそこから取り出したのは、小さな箱。
「ちゃんとしたものは、もっとちゃんと渡す。だからこれは…」
「…これは？」
「……俺個人の誓い、かな」
「…」
「……つけてもいい？」
「…馬鹿だよ、ほくと」
その小箱にそっと収められていたのは、小さな石が光る指輪だった。
北斗が、大切に取り出す。
「……ぴったり…」
右手の薬指に嵌めてもらったそれは、まるで誂えたかのようにぴたりと嵌まった。
「…A、ありがとう」
「え？それは私のセリフだよ(笑)」
「ううん。……ありがとう、ほんとうに」
彼が、指輪が光る手をぎゅう、と握る。
── いつかここに住んでいたことをふと思い出したとき。頭に浮かぶのはきっと、この幸せだった瞬間なんだろう、と思った。
そしてその隣で。
…笑っているのは彼がいい、と思う。
終わり
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
