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3月も終わりかけの土曜日。ふたりでのそのそと起き出して、のんびりと朝…昼兼用のごはんを食べる。
「ほくと、今日さ」
「うん？」
「ドライブ行かない？」
「ドライブ？」
「ずいぶんまた…急だね」って眉を下げて笑う。
「いいよ。どこ行きたいの」
「ん、もう決まってて」
「うん」
「レンタカーも予約したから、家で待ってて？」
「…え、なに、Aが運転するの？」
「そうだよ？」
悪い？って片眉を上げて言ってみたら、「悪かないけど…」って。でも不安そうな顔を隠しきれてなくて、それがなんだか可笑しかった。
北斗が家のことを済ませてる間にさくっと準備して、私も軽く掃除をしてから家を出る。後のことはロボット掃除機におまかせ。
あったかい格好で、って言ったから北斗は、コートを羽織って助手席のドアを開けた。
「あの…じゃあ、お願いします」
「はーい(笑)」
こころなしか小さくなってる北斗が可愛いと思う。
着いた場所の懐かしさに、目を細めた。
まだ高い日の光を反射させて、キラキラと輝く海。春先、と呼ぶにはまだ少し早くて、風は冷たい。けれどいつかみたいにトランクを開け放ってそこに腰掛ければ、安堵するようなため息が漏れた。
「はい。ココアでいいでしょ？」
「うん、ありがとう。お隣どうぞ」
「遠慮なく」
北斗も腰掛けると、少しだけ車が揺れた。
「…どうしたの、急にこんなとこ」
「んー…なんか、来たくなっちゃって」
懐かしいよね、って呟いたら、そうだね、って彼も呟くように言う。その声は…何かを感じ取ったのか、少しだけ緊張してるみたいに聞こえた。
「…ほくと？」
「…ん、なに？」
黒目がちの、柔らかいその瞳が私の目を優しく捉える。
「……ありがとうね、今まで」
そう言った途端、彼の手が私の手に重ねられた。
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
