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『来週から公開らしくて』
『へえ？』
『……あのさ、』
『ん？』
『観に行かない？…嫌じゃ、なかったら』
「え」
……思わず、声が漏れた。
観に行く、ってつまりそれは、彼に会うってことで。彼に会うってことはつまり、…… "彼に会う" ってことだ。デートをする、ってことだ。
画面を開いて既読をつけたまま、時間が過ぎていく。
『嫌だったら、無理しないでいいからね』
北斗から続けてそう言葉が送られてきたのは、十数分が経ったときだった。既読をつけたのに何も送ってこないことに痺れを切らしたのか、それとも、彼の勇気が萎んでしまったか。
……会いたい、と思う。
けれど、会えない、と思う自分もいる。
苦しい思いはしたくない、っていう、保身の私。
『…ちょっと、考えさせて？』
『わかった。連絡待ってる』
そうして訪れた、3週間後の日曜。
結局私は彼と待ち合わせをしていた。
……香耶に、背中をぶっ叩かれたからだった。
「は？なにを迷ってんの？」
「だって…」
「まだ好きなんでしょ？」
「…」
「会いたいんでしょ？」
「……」
"正式な謝罪" として呼び出された居酒屋でのやりとりだった。ひと通り謝ってもらったあと……や、別に謝ってほしかったわけでもないけど。それでもその変わり身に、なんなの？って思ったり。少しだけね。
「絶対、会ったほうがいいよ」
「…」
「ていうか会いな？返事するわスマホ貸して」
「…なんで？」
「北斗に返事するから」
「そうじゃなくて。…なんで会ったほうがいいって、決めつけられるの？」
香耶は私の言葉に、ぽかんと口を開けた。
好きなんでしょ？ ……そうだね。好きだよ。だからこそ離れたの。会えるなら会いたい、私だって。
けれど、またあんな思いをしたら？意気揚々と戻っていって、結局また北斗の心が私から離れたら？
「……馬鹿みたいでしょ(笑)」
「…それでも私は、会ったほうがいいと思う」
「なんで、」
「じゃあ聞くけど、なんでAは北斗と連絡とってるの？」
「……それは」
「…」
「…だって。北斗が連絡寄越すから、」
「ほら。無下にしてない時点で答えは出てるようなもんでしょ」
いいから行け、って言われて、その有無を言わせない言葉に渋々頷くしかなかった。のが、だいたい2週間前の話。
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
