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『おはよう』と『おやすみ』が毎日送られてくるようになって、1週間が経った。既読だけつけて、何も返さずに1週間。…つまり、返信しないことに心苦しくなってくる程度の時間ってことだ。
『おはよう。仕事、頑張って』
『ゆっくり休んでね。おやすみ』
『おはよう。天気いいね！』
そんな言葉が並ぶ画面を少しだけ見つめて、……ぎゅうと目を瞑った。そのまま画面を見ずに、そうっと "おはよう" って打ち込んだ。
たった4文字。
これでちゃんと入ってなければ、送るのはやめようって。バカみたいだけど、運試しのような、願掛けのようなそれ。
"おはよう"
目を開いて、カーソルが点滅するそこには、打った通りの言葉が入っていた。躊躇う前に、そのまま送信ボタンを押した。
── お昼休憩で、彼からの通知に気づく。そこには、"松村北斗がメッセージの送信を取り消しました" の文字と、もうひとつ。『おはよう！！』って元気いっぱいの言葉が増えていて。
彼の動揺と素直な喜びが伝わるそれに、心が安堵した気がした。
そうして。
北斗とのやり取りが、ゆっくりと増えていく。
『A、新刊出てたよ』
『うん。もう読んでるよ(笑)』
『え。……さすが早いね』
『楽しみにしてたもん』
『俺も買いました』
『私はもう読み終わりました』
『早いって…』
『ネタバレしていい？』
『……悪魔なの？あなた』
『すげー面白かった』
『ね！ ○○さんは裏切らないよやっぱり』
『あのシーンよかったな、列車のとこ』
『わかる……』
北斗の、顔が見えないからっていうのもあるのかもしれない。けれど、今まで降り積もっていた北斗の "好き" は、私の "好き" とすっかり溶け合わさってしまっていて。
……彼とのやり取りは、安心するんだ。すごく。
『昨日のあれ見た？』とか、『入道雲。天気悪くなるかも』とか、『金ローだよ！』とか。
付き合う前のあの頃みたいな、何気ないやりとりが溜まっていく。トゲの生えていた心が、少しずつ落ち着いていくような気がする。
『A』
『ん？』
『カフェでさ、読んでた本。覚えてる？』
『カフェ？…いつの？』
『あの……付き合う前に、なんかいろいろ話したときの』
『………あ。もしかして○○？』
『そう！』
映画化したんだって！って、その文字だけで、北斗の嬉しそうな感情がひしひしと伝わってくる。
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
