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「仕事。…だったの？(笑)」
「…え？」
「……かわいいひとだよね。きっと」
聞きたくて、でも聞けなくて。聞いちゃだめだって思ってたことが、口を突いて出た。
そうしたらなんだか、呆れたような笑いが一緒に漏れた。自分自身に呆れたような、笑い。
…もう、いいかなって思った。
「電話かかってきたとき。……女の子の声、聞こえちゃったんだ(笑) 北斗、嬉しそうだったね」
「……」
「北斗のことだから、本当に仕事なんだろうなって思ったけど。…思いたかったけど。……私には、聞かせられない話だった？」
「それは、」
「仲良しなんだね。……羨ましいな」
心に溜めていたことを吐き出すときって、どうしてこんなに感情が揺れるんだろう。
視界がぼんやりと滲んで、慌てて瞬きで隠す。
「……わたしは、北斗に触れることも許されないのにね(笑)」
「…」
「そのひとは、香水の匂いが移るくらい近くにいられるんでしょ？そんなの、私よりよっぽど、」
「A、」
彼女みたい、って。そう続けようとした言葉は、北斗に遮られた。
ぽとり。水滴が落ちて、テーブルが濡れた。
…北斗は、何も言わなかった。
「…匂いつけて帰ってきた日。……私が出てった日も。そういうこと、した？」
「…A、」
「私に触れなくなった手で。…他の女の子には触れるの？」
「っ、違う」
「なにが違うの？」
声は震えて、ほろほろ落ちる涙も止まらないのに。やけに静かな声が出た。
気圧されたように北斗が口を閉じて、…もう一度、ゆっくりと開く。
「……こんな言い方しかできなくてごめん。…でも、してない。キスも。手、繋いだこともない」
「…」
「…チーム組む、って言ったでしょ？」
窺うように言葉を紡いだ北斗に。
ひとつだけ、頷いた。
「その人は、そこにいた人で。…確かに "いい子" だった」
「…」
「でも俺は、その子と、ってよりも…そのチームの人たちと仕事できるのが楽しくて。帰る時間も、遅くなって」
「…」
「……仕事、って言いながら、普通に飲んだりとかしてた。集まって、遊んだりとかも。…ごめん」
「…そう」
すん、と鼻をすする。
「……正直、なんとなく好意は感じてた。けど…」
「けど、なに？」
「…タイミング逃して、彼女いるって言えなくて」
「……言わなかった、の間違いじゃなくて？(笑)」
「っ、そんな言い方、」
「だって北斗。……飽きてたでしょ？」
私に、って付け足したら、目を見開いた。
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
