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…こわい、と思う。だって。
彼を繋ぎ止めていい理由が。彼を繋ぎ止められる理由が。
……私にはきっと、ない。
◇
◇
◇
有休をとった月曜日。本当ならお昼近くまでゆっくり寝ようと思っていたはずなのに、ぱちりと目が覚めたのは朝7時だった。
顔を洗いに行く前に部屋をゆるりと見渡して、……ああ、わかった。 "彼" との思い出を今日、全部処分してしまおう。きっとそのために、目が覚めたんだと思った。
思い出は美化されるって言う。時間が経つほどに、楽しかったことばっかりが残るって。…確かにね。納得するくらいの経験は、私にもある。
でも、 "彼" についてはどうだろう。…多分、どれだけ時間が経っても。思い出されるのは、最後のあの瞬間なんだろうなと思った。
── 女として見れなくなった。
"彼" の口から出た言葉に私は、笑うことしかできなかった。「…魅力がないってこと？(笑)」「…」「…抱けない、ってことだ。スキンシップも…とりたくないって？(笑)」口の端を歪めて言う私に、彼は何を思っただろう。
「…家族にはそういうこと、思わないだろ」
「家族って(笑) 私あなたの姉でも妹でも、母でもないよ(笑)」
呆れたような声が出る。「あ、もしかしてペット？犬だと思われてる？(笑)」そこまで言うと彼は、微かに眉間にシワを寄せた。
「…Aのことは大切な人だと思ってるよ。でも…」
「でも、なに」
「……でも、もう」
「…」
「… "彼女" としては、……難しい…」
口元を両手で覆って、深刻そうに言う彼に。…馬鹿みたいだと思う。私たちの4年は、あなたのそんな勝手な理由で終わるの、って。
「… "彼女" は難しくても、 "家族" にはなれるでしょ？大切だって思えるなら、なおさら」
「…」
「だって、あなたも言ったよね？『家族には何も思わない』って」
「それは…そうじゃなくて、」
「…なに？」
「俺は……いつまでも "そういう関係" でいられる人と…」
「…なんなの、それ」
怒り、なのか、呆れ、なのかわからない。けれど、気づけば指先が震えていた。
「……他の、女だったら」
「…」
「一緒にいたいって、言うの？」
ぴくり、と彼の肩が揺れた気がした。
「……まさか、いるの？そういう子が」
「……ごめん…」
「……」
最悪、ってこういう時に使うんだな、と。頭のどこか遠くの方で、冷静な自分が呟いた気がした。
プライドも、自信も、ズタズタに傷つけられて。
…私は、あなたとの何を美化すればいいんだろう。
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みそ(プロフ) - ひよりさん» ありがとうございます。楽しんでいただけたならよかったです🙇♀️💚 (2022年5月31日 13時) (
レス) id: 4d278d62fc (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - めちゃめちゃにきゅんきゅんさせて貰いました🤍最高でした😍 (2022年5月29日 23時) (レス) @page24 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
miso(プロフ) - UwUさん» すいません、変換できないようになっていたので直しました💦教えて下さってありがとうございます…！！！！ (2022年4月12日 21時) (レス) id: ecadc79423 (このIDを非表示/違反報告)
UwU - 25の松村さんのセリフ「元の名字」ってどういうことでしょうか？？ (2022年4月12日 0時) (レス) @page25 id: aca0757d01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年1月15日 22時
