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「水、飲んでいいんだっけ。ここ」
「いいんじゃない？メンバーだってステージで飲むっしょ」
「あ、そっか」
それじゃあありがたく、と心で呟いて、ペットボトルのキャップを開ける。ひとくち分減らしたところで、「…てかさ」と声がかかった。
「それ、去年俺がAに聞いたやつね」
「え？…そうだっけ」
「え？忘れたの？」
「たろちゃんショック！」口元を両手で覆って、大げさにリアクションを取る彼。そんな彼にも、もうすっかり慣れてしまっていた。
「俺めっちゃ覚えてるよ？隣に座った子がさー、」
かわいい！って思って。ちょいちょい、見てて。でもなんかボーッとしてて、俺の方なんて全然見ないし。ため息ついてるし。スマホ見ては消して、スマホ見ては消して、って。…暇なのかな？って思ったから話しかけよーとしたら、怪訝な顔されて。
「いっそいで探して、出てきたのが『水飲んでいいんすかね？』だったもん(笑)」
「…よく覚えてるね(笑)」
「なに、かわいいって思ってくれてたの？」からかうように言うと、「だから言ってんじゃん、一目惚れだったって！」反撃するように返って来る。ちょっとだけ、ダメージをくらう。
「…でもまさか、ブロックまで同じだとは思わなかった」
「ほんとだよ(笑) A、なんか操作した？」
「してないよ(笑)」
「ていうか操作できるなら、最前取るもん」そう言えば、「確かにそうだわ。間違いない」って慎太郎。
「…いつか最前、取れるといいね？」
「そうね？きっとAが当ててくれるはずだし」
「うわ…プレッシャー…」
「チャンスはまだ何十回もあるからね！」
だいじょぶだいじょぶ、とあっけらかんと言う。
と、会場内に開演のアナウンスがかかった。「間もなく開演です。お立ちのお客様は──」その言葉に、拍手が沸く。
「開演だって。今日はあっという間だったね？」
「うん。まー、慎太郎が一緒だしね」
「…あ、なんか今のちょっとキュンとした」
「なんで？(笑)」
顔を見合わせて笑う。そうして、なぜかするりと手を握られた。
「…今年が終わっても。来年も再来年も、一緒に来ようね？」
「うん。今から楽しみ(笑)」
「あーー……好き…」
「ねえどうしたの？情緒不安定？(笑)」
きゅう、と彼の手を握り返せば、同じ強さで返ってくる。それがすごく心地よくて、…彼と出会えてよかった、と思った。心から、思った。
瞬間、会場内の灯りが全て、落とされた。
終わり
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みそ(プロフ) - ひよりさん» ありがとうございます。楽しんでいただけたならよかったです🙇♀️💚 (2022年5月31日 13時) (
レス) id: 4d278d62fc (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - めちゃめちゃにきゅんきゅんさせて貰いました🤍最高でした😍 (2022年5月29日 23時) (レス) @page24 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
miso(プロフ) - UwUさん» すいません、変換できないようになっていたので直しました💦教えて下さってありがとうございます…！！！！ (2022年4月12日 21時) (レス) id: ecadc79423 (このIDを非表示/違反報告)
UwU - 25の松村さんのセリフ「元の名字」ってどういうことでしょうか？？ (2022年4月12日 0時) (レス) @page25 id: aca0757d01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年1月15日 22時
