2.凍てついた月 ページ13
エルはその話に違和感を覚えていた。
とても自分の生い立ちに似ていたからだ。親は亡く、義理の親に預けられた。エルもそのような生い立ちだったからだ。詳しい内容まではわからないのだが…
「ひどい話…」
エルはそっとため息を吐く。その様子を見てか、香月は申し訳なさそうに頭をかいた。そして、すっかり冷めてしまった紅茶に視線を落とすと、お代わりを持ってくると言って席を立つ。
「香月…私。なんの関係があるんだろう」
瞳を伏せながら、エルはただ考えた。が、知識のない頭をフル回転させても、得られるものは何もなかった。諦めて、紅茶のいい香りに浸ることにする。
「待たせたな。お代わりの紅茶だ」
エルの前に紅茶を置くと、香月は音もなく部屋から去ってしまった。客を置いて去るなんて何を考えているんだ、エルはそう思ったのだが、紅茶を一口含めば、鼻孔をくすぐるローズの香りにそんなことはどうでもよくなってしまった。
しばらくして、香月は一つの刀を持ってエルの前に現れた。赤黒い鞘にはまった刀は雰囲気からして、禍々しいの一言しか出ないような刀だ
それをエルに差し出すと、エルは無言でそれを受け取る
乾いた血のような刀身をした刀はエルの幼い顔を刃に映した。禍々しいその刀身も、エルには美しく見えてしまった。
「それをお前にやろう。きっと、災いからお前を守る」
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作者名:Frange | 作成日時:2017年9月4日 17時