episode43 ページ45
兄さんの話を聞いてツーと一筋の涙が零れてくる
兄「A……一つ、聞きたい、事がある」
少しの間が空く
兄「俺を……恨んでるか？」
兄さんの口から意外な言葉を聞いて驚いた
けど、それは私が唯一出来なかったこと。それが出来たらどんなに楽になれるだろうか、何度も考えた
『そんなの、できるはずがないじゃん……』
涙が溢れる。ぽたぽたと零れ落ち自分の服を濡らしていく
兄「A、は、小さい、頃、から俺が、大好きだっ、た、もんなぁ……」
茶化しながらハハッと笑う兄さん
『兄さんってば、そんな大昔のこと持ち出さないでよ！！』
涙よりも恥ずかしさが込み上げてくる
兄「A」
兄さんの声色が変わった。そして私の方を見つめながら微笑んだ
兄「幸せになれ」
『っ……！』
兄「Aが自由で楽しいことをして、心の底から笑えるように……俺がなし得なかった事をきっと他の誰かが埋めてくれる」
兄「A、お前は幸せになる権利がある。泣くなよ、これじゃゆっくり逝けやしねぇだろ？」
涙が止まらない
『だって……やだもん、兄さんがいなくなるなんて……』
兄「ばーか、先行って待っててやるから、ゆっくり来い。生き急いだら、絶対許さねぇからな」
『やだよ……兄さん……死なないでよ』
ついに溢れ出る気持ち
『私、兄さんにずっと笑ってたかった。一緒にご飯食べて、遊んで、寝て、そんな毎日を過ごしたかった』
『ずっと、ずっとそばにいて欲しかったっ！！！』
兄さんは目を見開いて、声を上げる
兄「っ……俺だってお前のそばにいたい！生きていたい！！でも、これだけは言わせてくれ、俺の妹がお前で良かった。生まれてきてくれてありがとう」
兄「愛してる」
涙で視界が視界が歪む
『私も、愛してるよ。夜兄さん……』
ニカッと笑い兄さんはゆっくり目を閉じた
『兄、さん……？兄さん、目を開けて！兄さん！』
揺さぶってもなにも反応はない。握っていた兄さんの手がだらんとしているだけだった
『あぁぁぁーーーっ！！！』
悲痛の叫び声は誰にも聞かれることはなく
大きい月が、双子の兄妹を照らしているだけだった
────
Aの過去(幼少期)編終わりです。
長くなり、すみません
まだ続きはあるんですけど、それはまた後ほど
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夏夜(プロフ) - 明里香さん» 直ぐに訂正させてもらいました！まだ誤字脱字等ありましたら、またコメントして下さると幸いです！m(*_ _)m (8月16日 11時) (
レス) id: 4c41f768c0 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 41話、受け継次ぐじゃなくて、受け継ぐです。 (8月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夜 | 作成日時：2023年7月23日 1時
