episode41 ページ43
『っ、兄さん!!』
刀を投げ捨て、倒れている兄さんに駆け寄る
兄「……A……か?」
辛うじて意識があり、私を探すように弱々しく腕を動かす
『うん、!そうだよ……A、だよ……』
声を震わせながらも、兄さんの手をギュッと握った
優しく笑う兄さん。でもそれが切なく見えて泣きそうになる
兄「俺、……知って、るんだ……全、部」
突然、兄さんが口を開いた
『え、?』
驚く暇もなく、兄さんはポツリポツリと話し始めた
※
兄side
あの日の夜、俺はAの分の晩飯を持って部屋に向かった
兄「A、腹減ってるよな……」
物心つく頃には周りの人達からAに対する扱いは酷いものだった
理由を聞いてみると、四楓院家の特徴を受け継ぐこともできない出来損ない
それを聞いた瞬間、俺は怒った
すぐさま自分の父親、母親の所に向かい、猛抗議した。
なんでAに優しくできないのか、と。何度聞いても返答は同じ
"アイツは我が家の特徴すら受け継ぐことが出来ない出来損ない"
"あのような化け物に関わってはいけません"
だから俺はAを守る為に全力を尽くした。だが、それが裏目に出てしまった
Aが鞭で打たれているのを見てしまったから……
兄「な、なんだよ……これ」
泣きながら、ごめんなさい、ごめんなさい、と謝るA。
背中の皮膚は裂けており、そこから血が滲み出ている。それよりも前に付けられたであろう古い傷跡も無数にあった
いつの間にか俺の目には涙が溢れていた
そして、晩飯が乗ったおぼんを持って走り、自分の部屋に駆け込んだ
床に晩飯を置いて、部屋の隅に縮こまった
兄「くそ、くそ、くそっ……!!!」
(なんで俺が泣くんだよ……!痛いのはAの方だろ、?!止まれ、止まれっ!!)
目が赤くなるまで拭っていると
気づいてしまった。
己の無力さに
お前を、Aを守れていた、守っていたはずだった。けどそれはとんだ思い上がりに過ぎなかった
Aの心を抉ると同時に状況を悪化させたに変わりはなかったのだから
兄「俺、最低だ……」
だから俺は誓った
兄「強くなって、絶対にA守ってみせる……」
たった一人の妹が心の底から笑えるように
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夏夜(プロフ) - 明里香さん» 直ぐに訂正させてもらいました!まだ誤字脱字等ありましたら、またコメントして下さると幸いです!m(*_ _)m (8月16日 11時) (レス) id: 4c41f768c0 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 41話、受け継次ぐじゃなくて、受け継ぐです。 (8月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夜 | 作成日時:2023年7月23日 1時