秘めてるもの【浦原喜助】

episode26 ページ28

『に、兄さん……！？』




兄「石なんか投げてんじゃねーぞ！この野郎！」



突然、飛び出して来た兄さんと分家の子達で大乱闘になる




『に、兄さん！やめ、て！その手を、離して……！』



兄さんを止めるべく、必死に兄さんの腕にしがみつき、いじめっ子の体から離す





うわぁぁ、！と逃げ帰る分家の子達。



すると、兄さんは私の肩を掴んだ




兄「なんで止めたんだよ！なんでやり返さねーんだよ！ボコボコにしとかねーと、またお前をいじめに来るんだぞ？！」





兄さんの目に映っていたのは、怒りでもなく、呆れでもなく、ただ心配する瞳。それだけだった




それが嬉しくて泣きそうになるがなんとか堪える




『兄さん……私ね、兄さんが大好き！』




兄さんに向けて精一杯笑う




兄「は？」


鳩が豆鉄砲を食らうような顔をする兄さん




『私ね、あの子達には絶対やり返したくないの。だってやり返したら、あの子達と一緒になっちゃう』



兄「だからって……！」





『聞いて兄さん』


兄さんの言葉を遮る



『やり返したらいい、分かるよ兄さんの気持ち。でも、私、そんな卑怯な事はしたくないの』



私の固い意思を見た兄さんは諦めるようにため息を着いた




兄「はぁー、分かった。俺の言うこと聞いたことねーもんな、Aは」



兄「怪我……すんじゃねーぞ？」




大好きな兄さんに頭を撫でられ、笑顔で返事をした



『うん！』




今は夕暮れ、私は兄さんの差し出された手をとって家に帰った

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