chapter7 新たな出会い ページ36
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季節は変わり、木々は青々とした葉で満たされる夏。少女は分厚い本を片手で抱きしめながら、図書室の扉を開けた。もはや図書室へ行くのは日課となっていた。勿論、そこでエーミールに出会い、新たな知識と出会う事も日課となっていた。
ほんの少し重いドアを開けた先には、相変わらず優雅に舞う蝶々がいる。ここはいつ見ても美しい。
『ただ今管理人不在中』
「あら」
どうやらエーミールは不在のようだ。
カウンターに置かれてある立て札を見た少女は、残念に思いながらも、過去にも何度か不在の時はあったので特に気にすること無く抱えた本を戻しに行った。
誰もいない図書室というものは、何故こうも神秘性を感じるのだろう。蝶々が舞っているからだろうか。耳鳴りがしそうな位に静か────「ちっす」
「きゃぁあっ」
ドサッと大きな音を立てて本が床に落ちる。だがそれを気にする余裕など少女にはなく、声がした方に涙の滲む目でキッと睨んだ。
「ゾム様っ！驚かさないで下さいまし！本を落としてしまいましたわ！」
「ひひ、すまんすまん」
「済まない気持ちがあるのなら何故いつも驚かすのです！？もう！」
「そもそも此処は図書室なんですのよ！？いくら私達以外居ないとしても──」
ぷんぷんというオノマトペが似合う怒り方で(本人は至って真剣だが)ゾムに怒る。ゾムはそれをニヤニヤと笑いながら心の篭っていない謝罪をもう一度言った。
後悔も反省もしていない様子に、いい加減怒ることに疲れた少女は大きく溜息をついて、ゾムに此処へ何しに来たのかと尋ねた。
「別に特に用はないで？ただエルリカが急ぎ足で向かう姿が見えたから着いてきただけ」
「…………暇なんですの？」
(これで悪意ゼロってある意味凄いよな)
純粋な子供というのは時として残酷である。それがまざまざと分かる一番の身近な例はこの少女だ。これでも中身は子供とは思えないほど優秀な頭脳を持っているのだが、変なところで鈍感なのだ。
まあそこが可愛いと保護者達は言うのだが。
「あら、そうでしたのね。けれど、補充する必要は無いのではなくて?今いる方達だけで十分でしょう?」
「さあ?人事部門やないからわからん。あーでも、確か歳とかで引退した婆さんの穴埋めとか何とか言ってた気いするわ」
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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