chapter4 個性豊かな城の中 ページ16
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城に来てから七日目の朝。またもや総統室に呼ばれ、同じように「別の人間が今日は教鞭を執る。楽しみにしておくように」と話されて以下略。
毎回忙しい筈の総統閣下が、何故態々呼びつけて自ら話すのかは彼とその右腕のみぞ知る。
閑話休題
「おはようエリー。今日は俺が先生や。よろしくな」
「よろしくお願い致しますわ!」
今回の相手は豚の被り物をしたトントンだった。場所は彼の執務室。書類は綺麗に整頓されているが、どこか生活感がある。……自室は執務室とは別であった筈なのだが、何故こうも生活感が滲み出ているのかは聞かない方がいいだろう。
「先生言うても、この城の簡単な案内と各種類の書類の書き方教えるくらいやから、そんな畏まらんでええよ」
「それじゃあ早速行こか」
執務室を出て二人並びながら城の中を周っていると、時々他の幹部らに会うことがあった。
ある人は庭園にあるガゼボで本を読んでいて、ある人は兵の指導を自ら行っていた。またある人は書類の提出期限が遅れていた事を思い出し青ざめた顔で謝り倒したり、ある人は下手な変装をして城下町に行こうとしていたり、ある人は怪我をした兵士に馬乗りになっていたりと、時々トントンが怒る場面もありはしたが、それでも城の中は和やかで賑わっていた。
「ふふふ、こんなにも城の中は賑やかだったのですね。とても驚きましたわ!」
「今いない奴らが来たら更に騒がしくなるで」
「それはとても楽しみですわ!だってこんなにも笑った事なんて無いんですもの!」
(あ"ぁ〜尊いんじゃあ……何この可愛い生き物めっちゃ癒される……この笑顔プライスレス)
ニコニコと先程から笑顔が消えない少女を見て、豚の目の部分に手を当てそっと天を仰ぐ。仰げば尊し。
「突然上を向いてどうしましたの?」
「いや……何でもあらへん。気にせんといて」
「態々呼び付ける必要あるか?あんた忙しいやろ」
「だって………」
「それに呼ぶんやなくて自分がいけよ」
「だって……っ一年以上会えんかったんやぞ!?少しでも会話したいやん会いたいやん!!けどあの頃より成長したアイツとどんな風に会って話せばええかわからんやん!!」
「知 る か!!それに俺は普段から会えるからそんなん分からんわぁ〜総統は大変そうっすねぇ〜」
「何やコイツクビにしたろかほんまに」
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます!ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました! 更新頑張ってください。応援してます! (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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