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「でもグルッペンさん。エルリカちゃんを人質にしたからと言って、何か得でもあるんですか？まあグルッペンの親戚で大切にしてる子やけども。精々それくらいやろ？後は貴族だからとか？」
「それだけじゃないゾ、チーノ。確かに精神的な面での揺さぶりも目的だろうが、もっと大きな利点が奴らにはある」
「利点……？」
チーノは腕を組み頭を傾けて唸る。一分ほど唸ったあと「わっかんねぇ〜」と言いながら苦笑した。
「奴らにとってエリーの生死はさして重要ではない。生きていたら傀儡として使えるだろうし情報源にもなる。死んでいたのならそれを利用して、新聞の記事やらラジオやらで俺たち幹部の印象を悪くできる。エリーの存在は今じゃ国中に広まっている。年端のいかない少女だということもな」
「まあ確かに”幹部がいながら少女一人守れなかった”なんて書かれたら人気だだ下がりやんな」
「そういう事だ」
戦争はいとも簡単に起こる。しかし、建前ではあっても何かしら理由が無ければ戦争は起こせない。その理由、又は理由の火種となり得る少女の存在は、敵側からすれば魅力的なものだろう。
少女の存在はジョーカーほど重要ではないが、最初の一手にするには相応しかったという事だ。
他人に知られたならば、罵倒され軽蔑されるだろう。年端も行かぬ少女を利用し、あまつさえその命すら危険に晒しているのだから当然だ。幹部はクズで戦争屋の集まりだ。けれど人間である彼らにだって心はある。大切な人を大切だと思える心がある。落ち込んだり、傷付いたりもするわけだ。
グルッペンは大切な姪を危険に晒すことへの罪悪感に苛まれて、トントンはそんな作戦しか立案できない自分に腹を立たせて、オスマンやエーミールは何も出来ない自分に不甲斐なさを感じている。全員が全員、少女に後ろめたさと罪悪感を抱いていたのだ。
(人間とは、なんともままならないものだな……)
痛み出した目頭を軽く揉んで、グルッペンは指示が出るまで各々待機しておけと言って彼らを部屋から追い出した。
外は日が落ち月が登り始めている
そこに一人の女が入ってきた
その女はそっと少女の頭に手を置いて、優しく撫でる
女は自嘲するように笑うと部屋を出る
「……こんな国、滅べばいいのよ」
女の呟いた言葉は、誰もいない廊下に消えていった
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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