奪還2 ページ19
19.奪還2
がらん、
｢よしッよし…！刀は落としたよ主！｣
｢おつかれ、後は私に任せて｣
言うか言い終わらないかのうちに、私は地を蹴った。
瞬時に丸腰の兼定と距離を詰め、右腕を突き出す。
武器さえなけりゃ、学生時代のケンカと同じだ。
ガラ空きの腹に、重い拳が入った。
そのまま足を払って馬乗りになる。
｢ちょっと兼定！！！あんたこんな訳の分かんないものに負けてていいの！？！？機能性と美の両立はどーしたよ！！｣
暴れる兼定の胸ぐらを掴んで叫ぶ。霧が私を取り込もうとまとわりついてくるが無視した。
失いたくない。私の和泉守兼定を、誰かに取られてたまるか。
ありったけの霊気を注ぎ込む。
｢いい！？いくらあんたが認めたくなくてもね、私はあんたの、和泉守兼定の主なの！！そこだけは、あんたにも私にも選べない！！選べないけど、そこからどう生きるかは選べる、そうでしょ！？｣
霧が鋭い刃の形になった。気がついた時には、防ぎようがなくて。
ガヅッ
鉄と鉄がぶつかって火花が散る。
国広の背中。
あの人の背中が、一瞬重なった。
｢主さんには指1本触れさせない…！｣
ガガガガッ
次々と降りかかる霧の刃を、第一部隊のみんなが防いでくれる。
大丈夫、ひとりじゃない。
｢主さん！｣
｢兼定！！私は選ぶよ！！！｣
霊力が兼定の中の霧に弾かれそうになる。
足りない。まだ足りない。
｢私があんたを世界1愛してあげる。本丸のみんなも、あんたも。元の主の何倍も何百倍も愛してあげる｣
そっと、唇を重ねた。
｢だから、お願い。戻ってきて｣
兼定の中で、何かが爆ぜるのが分かった。ぶわりと風が巻き起こる。
静寂。
静寂。
目を開ける。
兼定の寄り目が至近距離にあった。
｢ぶふっ｣
｢んむぐッ｣
口付けをしたまま笑ってしまい、反動で兼定がむせる。
｢兼さん…兼さん大丈夫！？｣
身体を起こした兼定のもとに、みんながわっと集まった。
｢何が…って、うわ！？｣
突然抱きついてきた国広に、兼定が目を白黒させる。安定と清光もがばりと飛びついた。
｢なんだ、何だお前ら！｣
｢和泉守覚えてないの？｣
｢いや…黒い霧に取り囲まれたところまで…｣
あ、でも。と、兼定が座ったまま私を見上げた。
｢あんたの声は聞こえてたぜ｣
｢え｣
｢その…ありがとう。主｣
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切れかけミサンガ(プロフ) - 孤縷さん» うわっ本当だバカがバレてますね…ご指摘ありがとうございます、他にも何かあれば仰ってください！ (2018年1月29日 19時) (
レス) id: 7b9e52a361 (このIDを非表示/違反報告)
孤縷 - あの…15ページで、１日に10本なら1ヵ月では300本ではないでしょうか。一年でも3600本になりますし。なんか偉そうにすみません。続編でも頑張ってください! (2018年1月29日 16時) (レス) id: 6e76e80232 (このIDを非表示/違反報告)
切れかけミサンガ(プロフ) - *posu*polejumpさん» 有難うございます！少しだけお待ちください_(:3 」∠)_ (2018年1月29日 6時) (レス) id: 7b9e52a361 (このIDを非表示/違反報告)
*posu*polejump(プロフ) - 続編頑張ってください！！ (2018年1月28日 18時) (レス) id: 43ac6ebefc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：切れかけミサンガ | 作成日時：2017年12月27日 11時
