12 ページ12
□□□□□□□□
1年前のある事件を起点として、私の記憶はそこから遡って5年間がすっぽりと抜け落ちてしまっている。
行ってきますと微笑んで私を抱き寄せてくれた愛する人。
AREA X0で幼少期からずっと一緒に生まれ育ってきた、勇敢な兵士だった。
その人も私の空白の中でいつの間にか死んでしまっていた。
当時の姉曰く、4年前。訪れた彼のお墓には一輪の花が供えられていて、そこでも私は今日のように泣いた。
私が忘れてしまった5年間の中で、私はこの悲しみをどうやって乗り越えたのだろう。それを聞いてもお姉ちゃんはただ小さく、悲しく微笑むだけだった。
自力で乗り越えるしかないのだと。そういうことなのだろう。
だが、それでも辛すぎた。もう二度と彼に会えないなんて。
あんなにも愛したあの人に、せめて最後の愛してるだけでも。
君に最後の告白をできたらと。
後悔ばかりが私を捕らえて離さないのだ。
「なんで……どうしてこんなことにッ…、」
結局私の涙が止まるまで、お姉ちゃんは私の背中を撫で続けていた。
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - 続き楽しみです! (2020年10月10日 22時) (レス) id: 95ffd40df7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねこた | 作成日時:2020年9月17日 3時