152話 ページ5
千歳の才気煥発の極みが崩され始めた。
そのことだけ分かった。
Aは手首のリストバンドを握り締めた。
先程から手塚の言った打数で決まっている。
「流石手塚部長っ!完全に攻略したー!!」
千歳は呆然と立ち尽くしていると顔を両手で叩いた。
「うっし!立て直すばい!」
「次は1球でいい。」
手塚は背を向けたまま冷静に言った。
「あ、あれは…!!」
「才気煥発の…極み?!」
「待って下さい!百錬自得の極みもです!!」
Aがそう言うと皆は驚き、固まった。
「アイツ二つの無我の奥の扉を一度に…!」
手塚がサーブを打つとそのボールはコートに落ちるとネットに向かって転がった。
四天宝寺は勿論、青学でさえも口を開けて固まった。
あの越前でさえも呆然としていた。
「千歳先輩の話は間違ってたのかも…」
Aは小さく呟いた。
その声は誰にも届かなかった。
「こん男なのかも知れんたい…」
手塚は悠々とその場に立っていた。
オーラが最初よりもキラキラと綺麗に輝いていた。
Aはその姿に目を奪われた。
「天衣無縫の極みに一番近かつは…!」
「ゲームセットウォンバイ…青春学園手塚・乾ペア、6-1。この結果を持ちまして青春学園決勝進出!両校整列…」
審判がそう言うと両校のレギュラー陣がコートに入った。
「全国制覇まであと決勝を残すのみだーっ!!」
Aも中に入り、竜崎先生の隣に並んだ。
「エラい部長を持ったな。」
「クス…そうだね、頼もしいよ。」
白石はチラりとAを見ると軽く手を振った。
Aもそれに対して小さく会釈した。
「それにしてもAは可愛らしいな〜…おっと、何でもないで。そんな怖い顔で見んといてくれる?」
「フフッ、なんのことかな?」
「河村はんの病院、後で教えていただきたい。」
「あぁ、構わないよ。肋骨3本にヒビ…大腿骨損傷、しょう骨損傷。それから頸部挫傷に右足首の捻挫……行ってあげたら喜ぶよ!」
大石が怪我の名前を言う度に銀の顔は青白くなっていく。
「あれちょっと根に持ってますよね…」
「そうじゃな…」
Aと竜崎先生はそう呟くと小さくため息をついた。
Aは何気なく手塚の方を見ると千歳が手塚になにかを話していて手塚はそれを拒否していた。
「まぁ、あん子がおるけんな。」
「そろそろ黙らないか…!」
手塚がそう言うと千歳は笑った。
「準決勝、青春学園VS四天宝寺は3勝1敗で青春学園の勝利とします!礼!」
「「ありかとうございましたーーっ!!」」
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みかん - 更新頑張ってくださいテニラビやってますぜひ申請お願いしますいいねもおくりますみかんですねんです (2019年9月6日 2時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メリルリンチ | 作成日時:2018年4月19日 23時