【テニスの王子様】続×3・モブCからの卒業 (ページ33)

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１８１話ページ33

「まさに天衣無縫…」

乾が天衣無縫について持論を述べるがAは越前を見続けた。

リョーマくん楽しそう。

Aは嬉しくなった。

楽しそうにテニスをしている越前がどこか微笑ましく感じた。

「お嬢ちゃんちょっといいかい?」

「あ、はい。」

Aがその場を退くと誰かが竜崎先生の後ろに立った。

「よう……バアさん。」

「南次郎…息子がお前と同じところにたどり着きおった。」

Aは目を見開いた。

「な、南次郎って…!まさかサムライ南次郎?!リョーマくんって南次郎さんの息子なんですか?!」

「おっ、有名じゃ～ん。お嬢ちゃんよく知ってんじゃねーか。」

南次郎はそう言うとAの頭を撫でた。

「だ、だから天衣無縫に…なれる資質をもっていた訳っスね。」

桃城がそう言うと〔違うな青少年〕と南次郎は言った。

「天衣無縫の極みなんてもんは最初っからねーよ。」

「「えぇ～～～っ!?」」

皆が驚くと〔ねぇっちゅーか…そーだな〕と南次郎は言い始めた。

「あの、もしかして…」

「お、なんだい嬢ちゃん。」

「テニスを…楽しむ気持ち、ですか?」

Aが恐る恐る言うと南次郎は口角をあげた。

「なんでそう思った?」

「えっと…根拠がある訳じゃないんですけどリョーマくんが今までに比べて全く違うと言って良いくらい楽しんでるように見えるんです。いつもはクールであんまり表情が無いけど今は笑顔だから……」

「ん～…まぁ、間違ってねぇが少し違うな。」

南次郎はそう言うと笑った。

「天衣無縫の極みなんてもんは誰もが持ってるもんだぜ。」

「テニスを始めたとき日が暮れるのも忘れ、夢中にやったろ?どんなにやられても楽しくてしょうがなかった。あん時は誰しも天衣無縫なんだよ。」

南次郎の一言一言がレギュラー陣の心に響く。

「それが、部活やスクールに入って試合に勝たなきゃいけねぇ。勝つためにミスを恐れて安全なテニスを覚えやがる。……いつしかどいつもこいつもあん時の心を忘れちまう。世界に行ってもほとんどの奴がそうだったからな……」

南次郎は言い終わると〔嬢ちゃん、これでわかったか〕とAに尋ねた。

「は、はい!つまり、その……」

「嬢ちゃんの感じたことを言ってみ。」

「……テニスを楽しむテニス、そんなテニスをすることが天衣無縫の極み。そういうこと、ですか?」

「そう、大正解だ。」

南次郎がそう言うとみんなで試合に目を向けた。