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179話 ページ31

「幸村のテニスは相手の五感を奪うことで有名だ…」

「でも相手の五感を奪うなんて…そ、そんなことできるわけ無いじゃん!!」

乾の発言に菊丸が声をあげる。

「しかし、あの越前が大ホームラン。そして着地に失敗して転倒。鼻血にも気づかない。どう説明する?」

菊丸はその言葉に反論しようとしたが声が出ず、悔しげに地団駄した。

「どうしたボウヤ…そんな探り探りのショットじゃ…」

幸村がそう言うと越前は目をつぶった。

「リョーマくんもう視覚も奪われてる…!?」

「や、やっぱすげぇぜ越前!!」

桃城がそう言うが〔ボウヤの負けだよ〕と幸村が言う。

「もうキミには聴こえてないだろうけどね。」

越前は返せず、その場で固まっていた。

「ゲーム立海4-0!」

越前はラケットを落とし、それを手探りで探す。

触覚が無いはずだがなんとかラケットを拾う。

体が覚えた雰囲気でコートの端に立つ。

なんとか拾ったボールを上げる。

落ちたボールを打たずにそのままスルーする。

また手探りで探す。

拾ったボールを投げる。

後ろに落ちてしまう。

また手探りで探す。

ボールを投げる。

背中に落ちる。

越前はいつも以上に汗を流し、目を見開き、震えていた。

見えない恐怖。

感じられない恐怖。

聞こえない恐怖。

恐怖による疲労感。

「な、なんでアイツあそこまで…」

「もう何も見えなく、聞こえなく、感じてないんだろ…」

「コシマエ…」

観客や他校、立海も含めて越前を心配している。

それでも越前はラケットを握り、コートにたっている。

立ちつくしている。

河村は頭をおさえ、不二は顔を背ける。

桃城は悔しそうに越前を見つめ、海堂はやるせなさに拳を握りしめた。

大石は顔を歪め、菊丸は今にも泣き出しそうにいた。

「私のせいだ…」

Aは前を向いたまま瞬きもしない。

手塚が小さなその声を聞き、Aを見るとAの頬に涙が伝っていた。

「私が…私がこんなオーダーを組んだから……そうすればリョーマくんは…リョーマくんはこんなことにならなかったのに…テニスを嫌いになってたらどうしよう……リョーマくん、あんなに楽しそうにしてたのに…奪っていたらどうしよう…」

Aは涙を流しながら壊れたように〔私のせいだ…私のせいだ…〕と呟き、ただじっと越前を見つめていた。

手塚はそんなAを優しく抱き寄せるがAはずっと前を見続ける。

「竜崎先生っ!!」

手塚は顔を覆い、涙を流す竜崎先生に声をかける。

竜崎先生は頷いた。

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みかん - 更新頑張ってくださいテニラビやってますぜひ申請お願いしますいいねもおくりますみかんですねんです (2019年9月6日 2時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メリルリンチ | 作成日時:2018年4月19日 23時

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