164話 ページ17
Aがそう言うと大石は膝をつき、涙を流した。
「何でお前は……いつもそうなんだー!!」
大石のその声は部員の声援にかき消され、手塚の耳には届かなかった。
「ゲーム手塚3-4!!」
「その辺にしておけ……二度とテニスが出来なくなるぞ。」
真田はずっとライバル視してたからこそ気をかけて手塚に声をかけた。
「お前の覚悟はそんなものか。」
「たわけが!」
手塚のサーブになり、手塚は腕にさらに負担をかけさせる。
「ぜ、零式サーブ…!!」
「はっ!!」
「30-0!!」
「つあっ!!」
「40-0!!」
「おおおおお!!」
「おのれぇーー手塚ぁーーー!!」
「無駄だ。」
「ゲーム手塚4-4!」
いつも以上に汗をかき、手塚はその場に君臨している。
「うっ血して紫色に…!!」
「も、もう止めるんじゃ…」
竜崎先生はそう言うと顔をおさえ、静かに泣き始めた。
「あの手塚ファントムの連打で負担を掛けた上、零式サーブも立て続けに4発も打つなんて無茶を…99.9%の選手は今ので再起不能になっても可笑しくない。」
Aは昨日の夜した手塚との電話のことを思い出した。
オーダーを考えていると手塚から電話がかかってきた。
「もしもし?」
『話したいことがあるんだが、今平気か?』
「作業をしながらになりますけど大丈夫ですよ。」
Aがそう言うと手塚は少しの間黙ると口を開いた。
『俺はこの全国大会、皆と共に優勝してプロになるためにドイツに行こうと思っている。』
「そう、なんですか…」
突然のことにAはビックリした。
でも、心のどこかでそんな気がしていた。
『明日が日本で最後の試合になるかもしれない…だから、絶対に悔いは残したくない。』
手塚のその声は決意に満ちていた。
「そうですか、もう変わらないんですね。」
『あぁ。突然こんなことを言ってすまない。お前には言っておきたかったんだ。』
「実は私も、先輩に話したいことがあります。大会が終わったら、時間をください。」
『……分かった。』
今手塚は揺るがない決意の元、自分の腕を犠牲にしてまで戦っている。
プロになるという夢を叶える前に全国大会を優勝する、その目標のために。
Aはそんな手塚の姿を涙を流さず、一分一秒も逸らさずに見つめた。
そして、改めてAも決意した。
今日、手塚に想いを告げるということ。
付き合いはしない、自分が想いを伝えるだけ。
手塚の邪魔にはなりたくない。
Aの考えがきちんと決まった
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みかん - 更新頑張ってくださいテニラビやってますぜひ申請お願いしますいいねもおくりますみかんですねんです (2019年9月6日 2時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メリルリンチ | 作成日時:2018年4月19日 23時