主命とあらば ページ5
長谷部と神様集会に行った日のこと。
「長谷部、少しここでまっててくれ。
必ず戻るからな」
長谷部「……………主命とあらば」
すっげー嫌そうな顔をしながらも、長谷部はこくりと頷く。
早く終わらせて戻らないとな。
そう、早く終わらせるつもりだった。
雑務やらを済ませていたら、気がつくと3時間も経っていた。
やばい、長谷部が泣く！
「すみません、連れを待たせているので、俺はこれで」
神様「あぁ、おつかれAくん。
連れの子にもよろしく言っといてね」
「はい」
長谷部を待たせている場所までできる限り急いで向かう。
案の定、その場で体育座りをした長谷部が、ぐずぐずと鼻を啜っているところだった。
「長谷部」
長谷部「あ、主〜！！！
おぞいじゃないですかぁ！！
すぐ戻るって…ぐすっ…言っでだのにぃ〜！！！」
「わるい、雑務に時間とられた」
長谷部「置いでいがないでぐだざい主〜！！！
じゅめいはごなじまずがらぁー！！」
わんわんと泣きわめく長谷部に、俺は柄にもなく焦る。
こいつらの泣き顔にはとことん弱い。
そう泣き喚かれても困る。
「長谷部、俺がお前に1回でもお前を要らないなんて言ったことないだろ？
大丈夫、置いていかないさ」
長谷部「はえ？」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を上げて、長谷部は目をぱちくりとする。
そんな長谷部に、俺は手を差し出す。
「主命だ長谷部、一緒に帰るぞ」
それを聞いた長谷部は、心底嬉しそうに笑って、俺の手を掴む。
長谷部「主命とあらば！」
子犬のようにはしゃぎながら、長谷部は俺の手を握ったまま、本丸へと駆け出した。
続く
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作者名：うわばみ | 作成日時：2019年9月8日 0時
