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「ねぇねぇ、どうしたの?」
じっと見つめ過ぎたのか、Aはルカスに声をかける。
「いえ、可愛らしい主様だと思っただけですよ。失礼ですが主様は何歳ですか?」
「10歳?」
「なるほど、ありがとうございます。あ、お名前もお聞きしても?」
「柊A、です」
「A様。ふふっ、素敵なお名前ですね」
嬉しかったのか「えへへ」と笑う顔は年相応の少年そのものだった。緊張も解れてきたのか、ほとんど話さず表情も変わらなかったAに変化が起こっていた。
そんな様子にホッとした顔をしたベリアンに、ルカスもにっこりと笑みを返す。
穏やかな空気が流れ始めた時、慌ただしく廊下を走る音がして、少し乱暴に扉が開く。
「や、やべぇ!早く隠れないと!」
金髪の男性が飛び込んできたことに、Aは小さく「わぁ」と声を出した。どうやら驚いたらしい。
「こらこらロノ君、騒がしいですよ。主様の前なんですから、お静か」
「こんにちは」
ベリアンの声を遮るように、Aはロノに挨拶をする。だいぶ慣れてきたのか、ベリアンやルカスの時と比べて声が少し明るく柔らかい。
「……え??!!こども!?」
「こらロノくん、失礼ですよ」
「あ、す、すみません!オレの名前はロノって言います!調理担当の執事です!」
「ん〜まあでも驚くよねぇ」
目を白黒させるロノに、Aはまた小さく首を傾げる。
「それで、どうなさったんですか?そんなに騒がしくして」
「ハウレスに追いかけられてるんすよ!」
また?とツッコミを入れるルカスに、ベリアンはなにも言わない。どうやらよくあることらしい。
「ハウレスってマジで頭が固いんだよな。と、とにかくどこかに隠れねぇと…!」
「どこに隠れるって?」
いつの間にか、部屋の入口には青い髪の男性が立っていた。険しい顔でロノを冷ややかに見つめる様子に、怒っているのだとすぐにわかった。
ハウレスはAに向き直り、柔らかい笑顔を浮かべながら目線を合わせるように膝を着いた。
「主様、うるさくして申し訳ありません。俺は執事のハウレスと申します」
「柊Aです。こんにちは」
幼い子供らしい挨拶に、ハウレスは小さく頷いた。
「それにしても一体何があったんですか?ハウレスくん」
ハ「ロノに壁の塗装を頼んでいたんです。シックな雰囲気の壁になるはずだったのですが、こいつが壁に、魚や肉のイラストを描いてしまいまして……」
そう言ってハウレスはため息をついた。
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もくせ - 好みの小説…!!続きが読みたいです!! (10月9日 23時) (レス) @page8 id: 68b438f60e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2023年2月14日 14時