悪魔執事と黒猫と少年 (ページ11)

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っと、だいぶ暗い話のように思えるが、少し訂正しておこう。Aは自分を不幸だとは思ったことがない。

叔父が飲酒をするのは年に数回。2桁にも登らない。
つまり、こんな日は珍しい。が、いつ起こるかわからない時限爆弾というのが少し厄介だ。
しかしそれだけでもある。
タイミングさえ間違わなければ特に害はない。

父と母は医者と教師。
これを読んでいるみなさんはご存知だろうか。医者と教職員の多忙さとブラックさを。
無論場所にもよるかもしれないが、教職員は人手不足で過労による問題が山ずみなのだ。

想像して見てほしい。
早朝から授業の準備をし、教室では個性のど付き合いの生徒たち、授業の合間に最低一つの教室にいる人数分の採点や丸つけをこなし、それが終われば部活の顧問をこなす。土日とか関係なく。
そして部活動での労働時間は給料が支払われない。なにを意味するかお分かりだろうか。そう、休みがない。

そして医者は常になにが起こるかわからない。
医療に絶対なんてないのだ。ひとつの判断ミスが命に直結する。精神をすり減らす仕事なのだ。看護師さんともなれば患者との距離は近くなり更に仕事量も莫大。
目が回るほどに忙しいのだ。そして難しい上にキツイ仕事なのだ。
子どもの面倒なんて見てられない。

でもAは両親から愛されている自覚がある。
兄からの矢印は少々重ためだが(というか少し病み気味だが)、Aはどこにでもいる至って普通の少年だ。

どこにでもいる、ただの少年。