情けない ページ4
ゾロゾロと出てくるのは表情の抜け落ちた刀剣ばかり。
全員から、ただならない雰囲気が滲み出ている。
本体を手から叩き落として腹を蹴る、背中を鞘で殴る、峰打ち、峰打ち、峰打ち……。
一向に終わらない。
数も勢力も衰えない。
「はぁ……はぁ……はぁ………っ！！」
振り下ろされる刀を受け止めて、押し返す。
いつまで持つかもわからない。
本丸内に張られた呪符のせいで体が鉛みたいに重い。
(情けねーな……ほんと……)
歯を食いしばって刀剣達の攻撃にひたすら耐える。
空っぽの笑顔で刀を振り下ろしてくる膝丸に反応が遅れ、刀が目の前まで迫ってきた。
(あっ……やばっ…………)
.
ガキンッと刀と刀がぶつかる音が目の前で響いて、火花が散る。
はっと目を開けると、そこには俺を庇って刀を受け止める三日月がいた。
「三日月！」
三日月「はっはっはっ……これは…笑っては済まされぬぞ………！！」
流れるように膝丸を切りつける三日月の横顔と俺の傷口に、鮮やかな新血がかかる。
その途端、膝丸の慟哭が頭に直接響いてるように聞こえてきた。
(折ってくれ……もう折ってくれ！！
兄者の所に…送ってくれ！！！)
「膝丸……三日月、膝丸を叩き折れ！」
三日月「なっ！？何を言って……！」
「お前がやらねーなら、俺がやる……」
俺は剣を握り直して、膝丸に斬りかかる。
剣に霊力を込めて、膝丸の本体を折る。
すると、膝丸は淡い光に包まれてサラサラと風に乗って散っていった。
『ありがとう』
そんな一言が聴こえた気がした。
.
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うわばみ(プロフ) - せんらさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます！ (2019年9月8日 0時) (
レス) id: 1627c77424 (このIDを非表示/違反報告)
せんら(プロフ) - すごくおもしろかったです！薬研と夢主があったシーン、すごく感動でした。これからも応援してます！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 1e2db71dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ | 作成日時：2019年8月16日 23時
