選択 ページ23
俺は差し出される白い手を、しばらく黙って見つめる。
堕ちるとこまで……ね。
「……お前はなにか勘違いをしてないか？
俺は確かに怨んでるし憎んでる。
でも、そんなことは些細なことだ。
1番じゃない」
A「些細なこと？！
あんな仕打ちを受けておいて言うことがそれか？！
なあ、あんたは今までずっと自分に嘘をつき続けてきたろ？！
素直になっていいんだ！我慢なんてしなくていい！
」
我慢か……。
でも、それは…
「お前もだろ？
お前だって我慢してきたじゃないか。
そうだろ？山姥切国広」
名前を呼ぶと、目の前の俺は桜に包まれて山姥切国広に戻る。
山姥切「……主」
「俺が不甲斐ないばっかりに、お前は俺を庇って操られていた刀剣達の集団リンチの末に折れた。
あの時、お前は操られていて尚俺を助けようとしてくれた。
そうだろ？」
山姥切「…でも………俺は……」
まだ何か言いたげな山姥切の肩に手を置いて、俺は黙って首を振る。
確かに俺は、山姥切に斬り殺されかけた。
助けてくれたと知ったのは父さんの葬式のときで、斬り殺されかけた時から3週間も時間が経った後だった。
「お前が俺を斬り殺そうとした。それも事実だ。
でも、俺はそんなことよりお前らに謝りたかったし、無償の愛を注いでくれたことに対する恩返しがしたかった。
精神科に進んだのも、ブラック本丸が増えて刀剣が苦しんでいることを知ったからだ。
少しでもいい、あの時貰った一生分の愛情を返したかった。
それが叶っただけでもう、十分だ」
憎しみも苦しみも、全てをひっくるめて刀剣と生きることを選んだ。
「人としての幸せ」を捨てた「人」になってる時点で俺の答えは決まっていた。
死んだ今でも自信はない。
それでも俺は「人としての幸せを捨てて刀剣と共に生き、最終的に政府に殺される」ことを選択したことに後悔はない。
それはきっと、1000年先も変わらない。
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うわばみ(プロフ) - せんらさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます！ (2019年9月8日 0時) (
レス) id: 1627c77424 (このIDを非表示/違反報告)
せんら(プロフ) - すごくおもしろかったです！薬研と夢主があったシーン、すごく感動でした。これからも応援してます！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 1e2db71dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ | 作成日時：2019年8月16日 23時
