B2-2 ページ8
連なるロウソクの仄かな光に照らされた廊下を駆け抜け、Aは重圧な扉を押し開ける。
見慣れた廊下を息を切らしながら駆けていると、まるでAの動きを見ているかのように、アンティーク調のタイルが張られた床に赤いロールカーペットが広がっていく。
(……なに？)
思わず足を止めると、すぐ側にあった金属製のロウソク立てが、甲高い音を立てて倒れた。倒れた衝撃で折れたロウソクから、禍々しい紫の煙がぶわっと舞い上がる。
たちまちAを包み込み、頭蓋骨に響く程の甘い匂いを放ち始めた。砂糖を焦がしたような、目眩がするような不快な臭いに、Aは顔を顰める。小鳥も警報のように引きつった鳴き声を上げ始めた。
『A』
不意に聞こえてきた声に振り返ると、そこには戦争に行ってしまった父と、殺された母、そしてジェイドが立っていた。
「……ッ、」
思わず息を飲んで三人を見つめていると、三人は薄気味悪い笑みを浮かべながら手招きをし始めた。
『A、こっちへいらっしゃい』
『どうしたA、早く来なさい』
『遅くなってごめん。A、おいで？』
ぼんやりとする頭のまま、Aは言われるままに足を踏み出した。ずっと会いたかった人が目の前にいる。手を伸ばさない理由はなかった。
目の前の出来事が夢か現実かわからなくなったその時
______俺を、殺して______
すぐ隣から聞こえてきた声に、Aはハッと我に返る。目の前から三人は消え、あの不愉快な臭いも消えていた。
「……ショッピ」
一瞬、ショッピの存在が消えていたことに薄らと恐怖心すら覚えながら、Aは拳を握りしめる。
原因はわかってる。だから下手に怖がる方が逆効果だということもわかっている。
Aは深く息を吸い込み、また廊下を駆け出した。
今は立ち止まっている暇はない。一秒でも早くショッピの元へ戻らないといけない。
Aはフロアの最奥、オルガンの音が聞こえてくる扉を力強く押し開けた。
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うわばみ��(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» コメントありがとうございます！不定期かつ気まぐれ更新ですので気長に待っていて頂けたら嬉しいです。 (9月3日 20時) (
レス) id: ab7bcef119 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (8月31日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - ルキさん» コメントありがとうございます！いつも更新が遅いですが完結させるつもりですので、気長に待って頂けたら嬉しいです。 (2022年12月7日 10時) (レス) id: 08a0a12774 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - いつも拝見させて頂いております。すごく面白くてお気に入りの小説です。次の更新も楽しみにしています！ (2022年11月29日 18時) (レス) @page23 id: 7b284a32ed (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます！完結できるよう頑張ります！ (2022年2月6日 11時) (レス) id: 2061b1d98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ�� | 作成日時：2020年12月19日 16時
