B2-13 ページ19
すっかり静かになった廊下を抜け、エレベーターに戻ると、レイチェルが静かに口を開いた。
「おかえりなさい」
「スイッチは押しました」
「そのようですね。………そのスイッチを押す際、貴方に救いを求めた者はいませんでしたか？その者達はどうしましたか？」
レイチェルのそんな問い掛けに、ショッピは首を傾げる。
救いを求めてきた者なんていなかった。
襲いかかってきた輩なら居たが、もう撃ち抜いて潰してしまっている。
「いいえ、そんな人いませんでしたよ」
「……そうですか」
静かに、でもどこか落胆したようにため息を着くレイチェルに、思わず眉間に皺が寄る。
なんでだろ……この人のこの仕草はイライラする。
Aのため息とは違うそれに、ショッピは耐えるように拳を握りしめた。
再びエレベーターに乗り込み、ゆっくりと下の階へ向かう。その時、ふとレイチェルは思い出したかのように口を開いた。
「ショッピさん、貴方はAのことをどのくらい知っていますか？」
「Aのこと……？嘘が嫌い、外で何人か人を殺した、違法な施設にいた、小鳥と仲良し、意外と口が悪い、足癖も悪い、世間知らずな所もあって年相応なところもある、くらいですかね」
思いつく限りのことを話すと、レイチェルは何度か頷いた。その顔は、どこか穏やかで、優しげだった。
まるで子供のことを案じる母親のような、そんな表情に、ショッピは少し肩の力を抜く。
「あの子のフロアに行ってみますか？」
「え」
「フロアは、そこに住まう主そのものを表すように作っています。ですから、フロアに行けば、Aのことがわかるかも知れませんよ」
最後に全ては貴方次第ですが、と付け加えて、レイチェルは微笑む。
そんな提案に、ショッピは小さく頷いた。
「……そうですね。俺も、Aのことは知っておきたいです」
「では決まりですね。最後はAのフロアへ行きましょうか」
どこか薄気味悪い笑みを浮かべるレイチェルから発せられる甘いにおいに、ショッピはまた少し意識が遠のくのを感じた。
▲▽
「さあ、B4に着きました。ここのスイッチは冷蔵庫の中ですよ」
そう声をかけられ、ハッと目を開ける。
真冬のような凍える寒さは相変わらずなフロアは、見るも無惨に荒らされていた。
あの美しい花園は、もう見る影もなかった。
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うわばみ��(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» コメントありがとうございます！不定期かつ気まぐれ更新ですので気長に待っていて頂けたら嬉しいです。 (9月3日 20時) (
レス) id: ab7bcef119 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (8月31日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - ルキさん» コメントありがとうございます！いつも更新が遅いですが完結させるつもりですので、気長に待って頂けたら嬉しいです。 (2022年12月7日 10時) (レス) id: 08a0a12774 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - いつも拝見させて頂いております。すごく面白くてお気に入りの小説です。次の更新も楽しみにしています！ (2022年11月29日 18時) (レス) @page23 id: 7b284a32ed (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます！完結できるよう頑張ります！ (2022年2月6日 11時) (レス) id: 2061b1d98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ�� | 作成日時：2020年12月19日 16時
