B2-5 ページ11
扉の向こうはまるで影で埋め尽くされたように暗く、黒い世界だった。真っ暗で何も見えない。なんとか自分の足元が見える程度だ。暗闇の中に点々と灯っている蝋燭が、微かな光で途方もなく広い部屋を照らしている。
そして無限に続くような暗闇の空間には、またの不快な臭いが今まで以上に立ち込めていた。甘くも生臭いそれに顔を顰めながら、Aは足を進める。
得体の知れない臭いに包まれているだけで、Aは否応なく頭がぼぅっとする。
(なんだろ……目眩がして、気持ち悪い……)
速く先に進みたいのに、なかなか辿り着けないことに苛立ちを覚えながら、Aはフラフラと歩く。
その時、ふと足元を見て、Aの心はざわついた。進んだ道に沿って続いている自分の足跡が、真っ赤に染っていた。まるで血でできた水溜りを踏みつけてしまったときのように。
いつもなら無視できるのに、今はそれが出来ない。その血の足跡は、どこかショッピの未来を暗示しているように感じて仕方がない。
ぞわぞわと気持ちの悪い感覚を押し殺しながら、Aは進む。
唐突に吐き気がして、口元を手で抑える。その時、ぬるりとした感触がして、Aは自分の手を見る。
自分の拳に視線を落とすと、真っ赤な血で塗れていた。ベッタリとこべりついたそれは、まるで手をふやかすかのようで、思わず引きつったような声が出る。
(……なん、で？)
床になんて触っていないのに______。
不可思議な出来事に、どくどくと震え出した心臓をさらに痛めつけるように、どこからが甲高い女の悲鳴が聴こえてきた。その聞き覚えのある声に、Aは耳を塞いでしゃがみこむ。
(あたま……痛い……ッ)
ガンガンと激痛が走り、目の前が掠れていく。
その時、目の前でベチャリと、何か粘着質な物が落ちてきた音がした。顔を上げると、どす黒い紫色のブヨブヨとしたものが、ズルズルと体を引き摺って、Aに向かってきていた。
「……ッ！？」
堪らずに逃げ出すも、それはとてつもないスピードで追いかけてくる。はっ、はっ、と息を切らして走るも、足がもつれて走れない。手を伸ばしても、掴んでくれる人がいない。
「っ嫌だ、いやだいやだ！ショッピ……！！助けてショッ……！！」
そう泣き叫んで手を伸ばしても、Aの手は空を掴むだけだった。一瞬で飲み込まれていったAの耳に、聞き覚えのある声が聴こえた気がした。
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うわばみ��(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» コメントありがとうございます！不定期かつ気まぐれ更新ですので気長に待っていて頂けたら嬉しいです。 (9月3日 20時) (
レス) id: ab7bcef119 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (8月31日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - ルキさん» コメントありがとうございます！いつも更新が遅いですが完結させるつもりですので、気長に待って頂けたら嬉しいです。 (2022年12月7日 10時) (レス) id: 08a0a12774 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - いつも拝見させて頂いております。すごく面白くてお気に入りの小説です。次の更新も楽しみにしています！ (2022年11月29日 18時) (レス) @page23 id: 7b284a32ed (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます！完結できるよう頑張ります！ (2022年2月6日 11時) (レス) id: 2061b1d98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ�� | 作成日時：2020年12月19日 16時
