B3-14 ページ44
しんっと静まり返ったフロアで、ショッピは冷えていく頭に、顔を顰めた。
「……ショッピ？」
「……ぁ」
「ねぇ、僕の心配する前に自分の心配して」
「そ……やね……うん、そうする」
二人の間には、今までにないくらいに気まずい空気が流れてた。
次の部屋は、黒の鉄格子が真ん中を横断している真っ白な部屋だった。まだ頭の中で嫌な記憶が渦巻く中、ショッピは部屋を見渡す。
すると、地面に黄色い液体が入った注射器が一本置かれていた。向こう側のAの手にも、緑色の液体が入った注射器がある。
「……これ」
「薬でも打ってラリっとけってことなんかな」
「……しょ、ショッピ？」
眉を寄せて、不安そうに自分を見つめるAを横目で見ていると、中二階になっているガラス張りの部屋に、画面に写ってた男が出てきた。
「やあ！生身でははじめまして」
「ワード……」
「おや！この部屋に二人も人がいるなんて、定員オーバーだなぁ？あーははははは！！」
二人の返答を待たずに、ワードは話を進めた。
注射器の中身は、一つがビタミン剤で、もう一つが危険な薬。でもこの部屋は、注射器を打てば扉が開く。
その代わり一滴残らずきちんと打つこと。注射器は交換してもいいし、一人が両方打ってもいい。
この説明をやたらと長くして、頭が痛くなる高笑いを混じえて説明した後、やっぱりまたゲラゲラ笑いながら、奥へと引っ込んで行った。
(なにがしたいんやろ……あの人)
ふざけたみたいなドラムロールが響く部屋の中で、ショッピはAの名前を呼んだ。
△▼
A、と嫌に優しい声で、ショッピが自分を呼ぶ。
少しだけ肩が跳ねて、Aは恐る恐るショッピに近づく。
なんでだろう、ショッピが怖い。
「A、その注射器、俺に渡してくれへん？」
「……なにするの？」
「Aはなんにも気にせんでええよ」
「僕はなにするのって聞いてるの」
返答には一切答えず、ショッピはAから注射器を奪い取る。抵抗するスキすらなかった。
「あっ」
「死ぬわけじゃないらしいし、体小さいAやと不安やし、これが一番ええと思うねん」
「……それで、それでショッピは大丈夫なの？」
Aがそう聞いても、ショッピは何も言わない。ただ黙って笑うだけで、頷いてもくれなかった。
ショッピは大切なところで、いつも話を聞いてくれない。心配するくせに、自分のことはどうでもいいみたいなことばかり言う。
Aは、それがどうにも気に食わなかった。
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ネロ - らっぴょこさんさん» 同じく (2021年3月26日 21時) (
レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - ルキさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年10月30日 22時) (レス) id: baf7cd5c38 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ(プロフ) - あぁぁぁっぁ好きっ！(唐突)更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: cf78d11b1b (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - らっぴょこさんさん» そう言って貰えて嬉しいです。これからものんびりですが、頑張ります。 (2020年9月13日 21時) (レス) id: 5c7d5c749b (このIDを非表示/違反報告)
らっぴょこさん(プロフ) - あ、好きです。殺戮の天使もdも好きなので､､、こういうフリーホラーゲームとコラボ(？)してる作品って少ないですので､めちゃテンション上がりました！応援してます！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: c590781f3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ�� | 作成日時：2020年8月15日 17時
