妖と鬼 肆

夢の中の家族 ページ13

＿＿＿なさい、こ＿


＿＿＿おきな、、もう！この子は！＿＿







(あ、れ？)





なんだろう
懐かしい声がする

この声は・・・お母さん？




でもそんなわけ・・







「起きなさい！！A！！」


「！？」




おでこに痛みが走り
ギョッとして起き上がるとそこには
お母さんが頬を膨らませて立っていた




「もう何時だと思ってるの？
早く起きて
お父さんのお手伝いしてきてちょうだい」


「ぇっ・・ど、どうして・・」




お母さんを指さすと
ペチンと頭を叩かれる




「人に向かって指は指さないのよ」


「ご、ごめんなさい」




お母さんはいつもの調子で
ご飯を炊き始める




(お父さん・・・・お父さんはっ！？)




急いで外に出て
畑のほうに行くと
せっせと耕しているお父さんが見える



「おっ、お父さんっ！？！？」




畑の中へ入っていくと
お父さんは嬉しそうに笑って



「今日はお寝坊さんなんだな
もう仕事は終わったよ
野菜が採れたから家に持っていっておくれ」



トントンと私の肩を叩いた





いつも通り



いつも通りのお父さん






優しくて笑顔の絶えないお父さんが
そこにはいた




「なっ、どうしたんだっ！？
泣くな・・何処か痛いのか？
ま、まさか村の人たちに何かされたか！？」


「違う・・・違うの・・」




溢れ出る涙が止まらない


そうだ



あんなのただの‘悪い夢‘だったんだ





そうに違いなかったんだ








「早く家に帰ろう、お父さん」


「あぁ・・でも本当に大丈夫か？
斑もいないみたいだし・・」


「どうせ何処かで昼寝でもしてるよ」


「そうだな」






だってあんな惨いこと


する‘人間‘なんて



いないでしょ？

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