久しぶりの父親の顔 ページ23
「ご迷惑をおかけしました」
「いやいや、そんな。これも仕事なんで」
「…ざした」
「おう。今日はもう休め」
迎えに来たのは父親だった。母さんは町内会の集まりとかで来らんないって。
正直、父親も来ないって思ってたけど、案外そんなこと無かった。
いつものTシャツとは違う、よそ行きの服着てきっちりしてる父親は、なんだか違う人に見える。
「ほら、荷物」
「あ、うん」
「っぐ……おま、何入れてんだ？」
「教科書とノートと参考書と筆箱」
「にしたって重てぇだろ。ダンベルでも入ってんのか？」
「な訳あるか」
アタシのリュック肩がけして、昇降口で靴履き替えるの待ってくれた。
徒歩で帰れる距離だけど、今日は車。滅多に動かさないから多分エンジン固まってたんじゃねえか。
ちっさい軽車だけど。
後ろ乗って横になったら、静かに車が出た。ハンドル握る父親見るの、 何年ぶりだっけ。
気づけば遠征一人で行ってたし。
「……いつからだ？」
「4日前くらい、かな」
「違ぇよ」
「……小学校の、5年生くらいん時」
「そうか」
今と昔が逆転してたら、アタシも少しは甘えられたのか。
それとも、また「お姉ちゃんなんだから」って言われるんだろうか。
「……ごめんな」
「なにが？」
「気づいてやれなくて」
「気づいてたら気づいてたで結依の方行っただろ」
「…………そうか」
やっと気づいたかこんにゃろう。
まっすぐ帰るかと思ったら、途中寄ったのはコンビニ。
「ちょっと待ってろ」って車降りたかと思えば、数分後にレジ袋引っ提げて戻ってきた。
今レジ袋代かかんの知ってんだろ。
「おら」
「……飲むヨーグルト？」
「野菜ジュースもあんぞ」
「や、こっちでいい」
「おう」
ジュゴッ、て一気にジュース飲み干した。3秒もかかってねえんじゃねえか。
ちょびちょび飲みながら、また発進した車に揺られて家を目指す。
「まあ、なんだ。お前らがどういう道に行こうが、反対はしねえよ」
「アタシが家継がないって言っても？」
「おお。一代で終わるってのも、いいもんだろ」
「あと何年続くんだろうな」
「俺か母さんが入院するまでじゃねえか？」
「じゃあ今世は無理だな。くたばる気配が微塵たりとしてねえから」
「だな」
こういうの話したの、意外と初めてかも。
進路とか、そういうのは学校の先生とか、母さんと話すことが多かったから。
「オロナミンC飲むか？」
「半分しかねえじゃん」
早退した翌日って休みが許される気がする→←目を開けた先には後輩がいました
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朱雀(プロフ) - マルルさん» コメントありがとうございます！そして、おかえりなさいと言うべきなのでしょうか？(笑) 私も18祭行きました！余韻に浸りながら細々と続けてます！生活がガラッと変わりなかなか更新頻度が芳しくありませんが、ぜひ最初から読んでまたご覧いただけたら幸いです！ (2022年7月20日 13時) (
レス) id: e3806d850b (このIDを非表示/違反報告)
マルル - 初めまして！18祭のライブに行ってから久々にこの小説が読みたくなって必死に探して最初のシーズンから読んでます。個人的に村上くんとの絡みが好きです！これからも応援し続けます！ (2022年7月19日 20時) (レス) id: 3bfedbe2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱雀 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年3月19日 1時
