検索窓
今日:52 hit、昨日:179 hit、合計:157,432 hit

※彼らは警察です。 ページ38

近藤の話は「真選組で稽古をしばし付けてくれないか」というものだった。今朝方の一部始終を隊士から聞いたらしく、是非指導をとのことだ。迷ったが、弟妹を助けてくれた恩返しと思えば安いものだ。

事情聴取はこの後五日ほどかかると言われたが、真選組の面々とすっかり打ち解けた彼らからすれば悪くない申し出であった。何より人の気配があるのが嬉しいのだ。


その後、事情聴取は朝晩に分けて行われた。その間、長姉は待機したり弟たちと出かけたり稽古をしたりと、駿河時代を思い出したように動き回った。

万事屋は相も変わらず屯所に居続け、堪忍袋の緒が切れた鬼の副長により大前姉弟の聴取終了日に出ろと命じられた。抜刀した鬼に恐れていたのは新八だけだったが、いい加減に帰らないとお登勢に心配されると危惧したAの一言により帰宅を決定したのだった。


そして、最終日。

早朝5時からの稽古に珍しく隊長格を含めた隊士全員が揃っており、そして肩を並べて伸された。Aにではなく、白夜叉によって。

稽古の指導を受けることは、局長直々に話を聞いていた。素直に頷く者がいれば、そうでない者ももちろん居る。なんでガキに稽古つけられなきゃならねぇんだと臍を曲げる若い隊士はちらほら見かけられた。

当然、彼女の強さは稽古初日に知ったが、納得がいかない者もいる。真選組隊士の多くは田舎の出で、荒くれ者が集う道場出身が大半を占めていた。腕っ節が物を言う世界だが、それを歳下の、しかも女性に負けてはメンツが立たんと徒党を組んだ。

稽古を付けてくれと頼み、先手必勝で顔面を狙う。無論かわされ、滝が逆流するように顎下を狙われた。それを避け、上がった手元を狙って穿った。手首を返し、剣先を巻き込んで互いの切っ先が天井を向いた。あわや、隊士の手から竹刀が離れようとしたその瞬間に、別の隊士から竹刀が飛び咄嗟に二刀流の構えを取った。これにより、避けられない二対の打突を受けて大前家師範代は強かに背を打った。

勝ちは勝ちだ。粛清の際に浪士の刀を借りることはごく当然のこと。それなら稽古で竹刀を貸すのもありでしょう二刀流が駄目とは言ってねぇ、と言い訳を述べた隊士は侍の末席に置いておくようなやつでは無かった。真剣勝負なのだ。他者からの野次はあれど、武士の魂である刀をそうホイホイ投げる奴があるか、と。


高笑いする隊士を横薙ぎに殴り、師範代交代を告げたのが万事屋だった。


「オラ、かかってこいやチンピラ警察共」

こちとらいつでも本気で吐いて本気で戦ってんだ→←公務員or零細企業



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (141 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
484人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年2月23日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。