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おねだりされたら財布の紐は緩む。それは自然の摂理 ページ34

いくつか見繕い、これ? と尋ねると頷いた。剣と筆の扱いは上手い方がいい。字はそこまで下手ではなかったと記憶しているが、もっと上達したいのだろう。ちょっと奮発して一通りカゴに入れた。

筆、藁半紙、墨などを揃えて後はないかと聞いてみる。追加でこれ、と指したのは算盤のドリルだ。寺子屋の上級者向け。


「これ?」

「うん」

「数字好きだもんねぇ。よし、買ったげよう」

「ありがと」

「ん、」


三女は兄妹の中で唯一数字が大好きで、相手の竹刀よりも算盤を弾く方が速い。帳簿をつけるときは必ずそばにおり、何かと間違いがあるとすぐに指摘してくれた。本人曰く「数字はいっぱい色がある」らしい。

そうなると、同年代の手習いだけでは物足りないのだろう。買えるものは買っておいた方がいい。


「ねえちゃん、これだめ?」

「ん? 沙代どした」

「こぇ……」

「封筒と……便箋? 可愛いの選んだね」

「うん。かぐらちゃんと、おてがみかくの」

「ホントいつそんなに仲良くなったの? コミュ力高くない?」

「こみゅ……」

「あ、うん。大丈夫、こっちの話。お手紙にシールもいる?」

「いる!!」

「美菜も、欲しい?」

「……これがいい」

「よぉし、買ったろう」


あまり買わないようにと誓ったはずだが、ついねだられると財布の紐が緩む。弟らに使う金を考えて、少しセーブしておこう。

もういいかな、と確認するといつの間にかスキンケアセットが入っていた。犯人は分かっている。


「沙苗ー」

「あ、バレた」

「分かるよ。入れたでしょ」

「お肌かさかさになっちゃうから……お願い!!」

「薬局の方が安く買えるから、そっちでいい?」

「同じの、ある?」

「あるよ」

「じゃ、そっちにする。神楽ちゃんがこれ使ってるって言ってたから、欲しくなって」

「あの、本当にいつ仲良くなったの? 姉ちゃん知らないよ」

「ナイショ」

「あ、生意気」


セットは元の場所に戻し、会計に持って行った。一定金額以上購入すると20%オフのキャンペーンを行っていたらしく、意外と安く済んだ。袋に入れてもらい、ずしりと腕が沈む。

姉ちゃん早く、と急かす妹たちにはいはいと足取りを急ぐ。

そこに、ぽんと引き止める手があった。銀時だった。


「貸せよ、ソレ」

「え、」

「俺らの金平糖もあんだろ? 懐に入れちまったら割れそーだから、預かっとくわ」

「ぁ……はい。ありがとうございます」


眦をきゅ、と細めるAから目を逸らし、おうと返した。

うるさいから公園で遊ぶな? 家で遊ぶなって言ったりうるさいって言ったり理不尽にも程がある→←白夜叉様は狐の化身?



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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年2月23日 17時

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