お風呂上がりって猛烈に眠たくなるよね。アレコタツでも同じことが言える ページ11
「おーう、上がったか」
「可愛いアル!! 私の目に狂いはなかったネ!!」
「神楽ちゃんが選んでくれたの? ありがとう」
「ありがとうございます、神楽さん」
ぺこりと頭を下げる沙苗を目にした新八は、久方振りに見た礼儀正しさに驚いた。ちゃんとお礼言えるんだ。凄い。周りの大人はできてなさすぎる。
湯上りで血色がよくなった美人は見応えがある。特に、Aは普段簪で髪を纏めているため、下ろして緩く結んでいると違う人に見える。ぼけっと突っ立っている銀時は平常の死んだ魚のような目をしているが、どこかソワソワしている。
「次女の沙苗、三女の……美菜、と四女の沙代です」
「美菜、もう寝ちゃいなよ」
「んぅ……」
眠たさあまりにどこかへ行きかねない三女を捕まえ、沙苗に手を繋がせた。四女は一人でも重い。
とん、とんと一定のリズムで優しくあやすとぐっすり眠ってしまったようだ。すぅすぅと小さな寝息が聞こえる。
「沙代寝ちゃった」
「山崎さんがお布団敷いてくれてるみたいなので、そちらに移動しましょうか」
「こっちネ!」
ぽてぽて歩く三女と、その手を引く次女。先導の神楽と新八について行き、ゆったりした速度で最後尾をAと銀時が歩く。
「すっかり元気になったな」
「そうですか?」
「死にそうなツラしてたぜ、さっき」
「ああ……ですね」
ぎゅっと沙代を抱きしめ、抱えやすい体勢に持ち直す。
朱色が差す指先は、ぐらぐらとおぼつかない頭を支える。
「さっき、ありがとうございました」
「んー?」
「指……握ってくれて」
「あァ……まぁ、今にもぶっ倒れそうだったからな。血の色ほぼ無くなってたぜ」
「私も指先の感覚全くありませんでしたから……銀時さんが掴んでなかったらどうなってたかな…」
「ま、そんくれぇならいつでも手ぇ貸してやるよ。依頼料は知り合い割で安くしてやらァ」
「取るんですね」
連れられてきた部屋には、人数分の布団がきっちり敷き詰められており既に三女が夢の世界に飛び立っていた。
その隣に末妹を寝かせ、痺れかけた腕をふらふらと揺らす。
「この子たちは僕たちが見とくので、おふたりは先にご飯食べてきてください」
「え、さすがにそれは……」
「早くしねぇと、メシ食いっぱぐれんぞ。大の大人が大勢いやがんだ、福どころか残りモンすら無くなっちまうぜ」
「姉ちゃん、行ってきなよ。私待ってるから」
「沙苗……」
「姉ちゃんとご飯なら、明日も一緒に食べられるし」
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時