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長髪じゃない、桂だ ページ8

沖田と別れ、万事屋への道のりを歩いている道中ちりりんと鈴の音が鳴る。

足を止めると、ゴザを敷いて鈴を鳴らす袈裟姿の坊主がいた。傘を目深に被り、何やら経を唱えている。

ちりりん、と一つ鳴らすと、ガシガシ頭を掻いて僧侶の名を口にする。


「ヅラ、テメーどこにでも出没すんな」

「ヅラじゃない、桂だ」


桂小太郎は、かつて銀時と共に攘夷戦争に参加した攘夷志士。追われている身の上、こうして僧侶の格好になることも少なくない。


「お前さぁ、あいつのこと覚えてる?」

「……清水か」

「やっぱ知ってんのか」

「その界隈ともなれば情報の出回りは速い。ふざけた名前だと聞いたが、それに奴が関わっているとは思わなんだ」

「まぁ、だよな。そもそもあいつ生きてたんだって思ったわ」

「俺もだ。戦場では後方支援が主だったが、彼奴も攘夷志士の中では腕の立つ男だった。そう簡単に死ぬとは思えん」

「あの趣味の悪い眼鏡も、まだ掛けてんだとよ」

「アレが似合う男は、清水以外いないだろうな」


銀時と桂が話す「清水」という男は、かつて2人を含めた攘夷戦争に参加した経験がある侍である。

刀を振るうことはなく、その優れた視界と抜群の腕を買われ援護部隊に回り、弓矢の名手として知られた。

かの視界は千里眼とも称され、その(まなこ)に狙いを定められた者は一瞬のうちに心臓を打ち抜かれる。矢を鋭い爪に例え、戦場では【鷹】などと呼ばれていた。別に加○鷹は関係ない。本人は(当時)童貞だったが。

類稀なる才は、遠方から押し寄せる天人の軍隊を制圧するに大いに貢献した。

しかし、幕府の降伏により攘夷志士は一斉に捕縛されてしまい、その後の行方は知られずのままとなってしまった。


その、清水が生きていた。

嬉しくもあるが、その反面2人の胸中は穏やかではない。


「高杉が暴れねぇといいがなぁ……」

「あの高杉のことだ。生きていると知れば、江戸中をひっくり返してでも探し回るぞ」


この清水という男。先の戦いでは攘夷志士だったが、もっと遡ると銀時、桂、高杉と同じく松下村塾の門下生だった。

当時は痩せてひょろひょろしており、着ている着物も粗末なものだった。

学なんぞ要らん、と突っぱねる父親の目を盗んで村塾の門戸を叩き入塾してきたのだと話す彼に、師である吉田松陽は優しく迎え入れてあげた。

字を学び、教えを乞い、塾生としては模範生だっただろう。村塾きっての秀才と謳われた桂と張り合うほど頭が良かった。

かつての同門→←仕事しろドSコンビ



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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年1月28日 21時

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