整理しようか ページ36
ひたすらぎゃあぎゃあ騒いで、皿が空になりゆっくり茶を飲んだ。
銀時は気だるそうに、桂は両手で湯呑みを持って、清水は筒を持つようにして茶を啜っている。
何も、この男が来訪したのは和菓子がメインではない。あくまでアレは手土産だ。
「鶴森は失脚したそうだ。だが、後ろ盾や今回の事件で癒着していた幕臣が多いらしいな。その洗い出しには時間がかかりそうだ」
「ま、だろーな。飴使ってガキ誘拐するたぁ、ふてぇ野郎だ」
「また、現場からは鶴森所持のヘリコプターが押収された。しかし、一部分だけまだ見つかっておらん」
「一部分? どういうことですか?」
「なんでも、プロペラ部分のみ紛失したらしい。もっとも、一時は上昇したためその時点ではまだあったそうだな。
しかし、エンジントラブルのため操作がもたつき、その間に切り離されたということだ」
「切り離された?」
「ンな訳ねぇだろ。そんな芸当、できる奴ァ一人しかいねぇ」
「確かに」
殊勝な顔で頷く銀時と桂を見やり、まさかと子どもたちの視線が眼鏡の男に向く。
弓をやっていたこと、確実に仕留める【鷹】と呼ばれるほどの腕前、そして銀時はこう言っていなかったか。
『いるだろ。カトウじゃねぇ、本物が』
あれは清水を指していたのだ。
どういう経緯か知らないが、あの場に彼はいた。そして、逃亡を図るヘリコプターを狙撃した。
夜目が利くとか、そういう次元じゃない。
「またどこに飛ばしたんだよ」
「少なくとも、あの周辺だね。今頃真選組が出張ってるんじゃない?」
「寸分の狂いもなく、結合部は狙撃されていたそうだ。那須与一とも称されるお前しかできん」
「そんな呼ばれ方された記憶ないんだけど」
「水飴そのものは処分されたが、原料である作物は押収された。まだ欠片が残っていたらしい。ほんの少しでも多量の成分が含まれるため、懐に隠し持っておいても問題は無い」
「あのハーメルンとかいうのはこっちで馴染んだ俗称で、本来は別の名前だったんだってさ。あの幕臣と同じ星の出身者に話を聞いても聞いたことがないって言ってたから、江戸の人間にとって調べにくいように画策したんだろうね」
「おめー、なんでそんなコネ持ってんだよ」
「本業でちょっとね」
本業ぉ? と語尾を上げる銀時の後ろでテレビの特集が流れる。
前回に引き続き、作家の岡 都々喜さんについて……とアナウンサーが概要を話していた。
「あぁ、アレ」
「……ベストセラー作家」
「そう」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時