一寸先は鷹の嘴【銀魂】 (ページ15)

今日:12 hit、昨日:30 hit、合計:127,595 hit

昼の貴公子ページ15

『それでは、今週の特集です。

週間書籍ランキングを連続5週でトップ3入りしている小説【炎天下の五月雨】の作者である岡都々喜さんについて……』

雨の勢いが収まったとて、洗濯物は外に出さない。

それは攘夷志士でも同じことで、またいつ雨足が強くなるか分からないため洗濯物は室内干しだ。

桂は万事屋の幼馴染と別れた後、塒(ねぐら)へ戻り着物と羽織りを取り込んでいた。

というのも、普段行動を共にしているエリザベスは数日前から情報収集に参加してもらっているため、身の回りの家事は桂が担うことになっていた。

攘夷志士たるもの、敵の攻撃を防ぐには必要なことだと自らに課せて家事に挑む。

テレビを見ながら乾いた洗濯物を畳む姿は、攘夷志士というより専業主婦に近い。

「ふむ、なるほど。こうして架空の江戸の物語を仕立てあげ、いずれこのように江戸を改変させてみせるという宣戦布告か。面白い」

なぜ小説家から攘夷志士の発想に繋がるのか分からないが、こうした仮想の考えを借りて活動に繋げることも少なくない。

以前は、攘夷浪士が地下深く穴を掘って金庫に忍び込み幕府にとっては墓に持っていく程の重要機密をマスコミに公開して失脚させる、という内容のものがあった。

それについてはさわりしか知らず、目当ての書籍を購入しようとしたところ検閲に引っ掛かり全て回収されてしまったとのこと。

普段は自分で考えた計画を遂行し、幕府転覆への道筋を切り開かんとするがやはり限界というものもある。

万策が尽きそうなときこそ、こういった架空の設定からアイデアを頂戴するのだ。

「まずは幕府に……なるほど、これはかなりの年月が必要だ。懐に入り込み、情報を扱うため信頼を得るか…煮え湯を飲まされるような屈辱だな」

独り言を呟いて洗濯物を畳み、箪笥にしまう後ろ姿は間違いなくお母さんそのものだ。中には攘夷浪士の足袋や褌も含まれており、それらは部下に渡しておいた。

さて、と腰を落ち着けると特集は終盤に近づいていた。

作者の岡都々喜なる人物はメディアへの公開をしないようで、外部との接触は極限までに控えているらしい。

男性か女性かも分からないが、作家はその人物よりも作品が注目される。その内容がいかに面白いものか、そしてどんな人物が書いたのかという興味へ移る。

作者からのコメントとしては『あくまで仮想で架空。だが、こうした未来を描くことは制限したくない』とのこと。

桂にとっては好印象だった。