しとしとと、 ページ12
「ヤサオトコだったヨ。新八と同じくらい存在感なかったアル」
「オイ、存在感がないってどういうことだよ。眼鏡掛け器か、眼鏡が本体ってことか」
「それアレか。髪こんくらいの、黒い着物の」
「ええ、そうですよ。銀さんも知ってたんですか?」
「んー、まぁ昔のツレだよ」
それ以上は言わず、ジャンプを読み耽る作業に移る。新八はため息をつき、洗濯物を取り込むことにした。
神楽は水飴が溶けた割り箸を齧り、定春は所定の位置でお眠りのポーズ。
各々好きに過ごしているうち、外はやや曇天の兆しを見せる。
さぁさぁとシャワーのような細い雨が降り、新八は慌てて洗濯物を取り込んだ。間一髪で濡れなかったようで安堵した。
それが銀時の着流しであるから尚更である。
「……んだよ、雨か」
「急に降ってきましたね。天気予報じゃ晴れだって言ってたけどなぁ」
「結野アナ今日休みだから外れたんじゃね?」
「あ、そっか……」
銀時がファンであるお天気お姉さんこと結野アナは、ブラック星座占いなどのコーナーを持つ人気の女子アナだ。
彼女の実家で起こったいざこざから、結野アナ本人とその一族が幕府お抱えの陰陽師であることを知った万事屋は、その高精度な天気予報と占いに全幅の信頼を置いている。
が、その結野アナは本日数週間遅れの夏休みということで別の女子アナがお天気を担当していたのだ。そのせいか、銀時のテンションの低さに拍車がかかっている。
銀時は雨が好きではない。湿気で天然パーマがもっとくるくるになってしまうのと、癖っ毛がより頑固になってしまうから。こうしたところは思春期の女子と相違ないが、本人にとっては死活問題らしい。
俺だったら産まれてくる子どもの遺伝子ねじ曲げてでも天パは阻止するとかなんとか言うくらいなのだ。くりんくりんの癖毛は好かないのだろう。
「あー……家賃どうすっかな…」
「今月も入れて、4ヶ月でしたっけ? いい加減にしないと、ホント追い出されますよ」
「ダンボールハウスを城って呼びたくねぇんだよな…」
「それ明らかに誰か個人のこと言ってるでしょ」
「んだよ、誰もグラサンかけたマダオとは言ってねーだろうが」
「言ってんだろうが!! それ明らかに長谷川さんのことだろーが!!」
「マダオは自業自得でああなったアル。不器用って言葉使ってカッコよく生きてる風になってる人生の浮浪者ネ」
「言わないであげてよ……」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時