攘夷志士にならないか ページ29
「ヘリってアレアルか。でっかい黒いやつ」
「そうだ。如何した、リーダー」
「あそこに連れてかれたとき、なんか口からくっさい臭いしてたアル。だから私、持ってた割り箸突っ込んでフタしたヨ」
「はぁ? 割り箸ぃ?」
「テレビでやってたヨ。割り箸に火付けて、燃やして臭い消すってヤツアル」
「それって、科学番組のでしょ。あれは割り箸を燃やした炭が消臭剤になるんだよ。割り箸だけじゃ臭いは消えないよ。銀さんの足が何よりの証拠だろ」
「マジでか!!」
「え、なに? なんで俺に流れ弾が来んの? ねぇなんで俺被弾してんの?」
「しかも、神楽ちゃんが持ってたってことは水飴付いてたやつでしょ。まだ持ってたの?」
「美味かったアル」
「あ? 新八、お前今なんて」
「だから、例の紙芝居の人が配ってた水飴ですよ。割り箸についてたやつ。神楽ちゃん、それに気に入っちゃって残りを酢昆布の箱に入れてたんですよ」
「酢昆布の匂いとフュージョンして美味かったアルヨ」
「……お前、それって…」
神楽が言う「口」とは、恐らくガソリンの供給口のことだろう。臭いはガソリンで、鼻が利く神楽にとっては銀時の足よりも強烈だったかもしれない。
そこへ、持ち合わせていた割り箸を突っ込んで蓋をした。科学番組で齧った、「割り箸が消臭効果を持つ」という思い込みによるものである。もちろん、番組の実験は割り箸を木炭にして消臭効果を計るというもの。燃えてても燃えてなくても同じだろうと、それをガソリンタンクに入れてしまった。
そして、その割り箸に付いていた水飴。原料はイモだが、同時に砂糖を使う。紙芝居で不特定多数の人間に配る用だから、大量に砂糖を注ぎ込んでいたことだろう。
砂糖はガソリンに入れると溶けて糖になり、ガソリンと混ざりやすくなる。そうなると、エンジンが焼き付くため機体は停止、もしくは故障するという算段だ。
これを知らないとはいえ、間違いまくった知識とその場の凌ぎでそれをやってのけた神楽は攘夷志士の功労賞受賞モノだった。
悪代官を成敗するだけでなく、数千万はするという所持品をやりのけてしまうとは。
「リーダー、これを機に攘夷志士にならないか」
「ヤーヨ。定春の散歩やんなきゃやらないアル」
「じゃあ定春君も…」
「ウチの娘やれる訳ねぇだろ。大体、テメーウチのエンゲル係数がいくつだと思ってんだ」
「ならば銀時、お前も攘夷志士に」
「ならねーよ!! なに万事屋引き抜こうとしてんの!?」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時